ビジネス

加入料高額な地震保険 意外に少ない受取金なことを忘れずに

 1995年にはわずか9%だった地震保険の世帯別加入率は増え続け、2011年度末には26%となった(損害保険料率算出機構しらべ)。東日本大震災以降、急速に地震保険への加入世帯は増えている。

 地震保険は火災保険に付帯する形で加入でき、保険料は地域ごとに定まっていて、どの保険会社で入っても同じだ。そもそも、どんなときに支払われるのかよく知らないのに、「心配だから」と加入を考えている人は、ちょっと待ってほしい。

 もし火災保険(建物)が1000万円の設定なら、地震保険の保険金はその30~50%(300万~500万円)が上限だ。そして、その保険金の支払いは、「全損(契約金額の100%)」「半損(同50%)」「一部損(同5%)」の3パターンしかない。

 全損の基準は一律で定められており、木造建築の場合、「主要構造部(基礎、柱、外壁、屋根)の損害額が時価の50%以上になった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、延床面積の70%以上になった場合」だけだ。

 比較的新しい戸建住宅は厳しい耐震基準で建てられている。「基礎、柱、外壁、屋根」が満遍なく相当の損害を受けるケースはほとんどない。屋根も外壁もガラスもかなり被害を受けていても、基礎や柱が無事だったら、全損や半損と認められない可能性もあるのだ。そして、仮に一部損と認められても、500万円の地震保険の一部損の保険金はたったの25万円だけだ。

 建物の地震保険に入らず、家財の保険のみに入る人も多い。家財の地震保険は、家財の火災保険に付帯して加入できる。

 不動産コンサルティングをてがけるさくら事務所のコンサルタント・三上隆太郎氏によれば「家財の保険は、主要5品目(食器陶器類、電気器具類、家具類、身の回り品その他、衣類寝具類)の損害状態で判断します。食器や家電、タンスが全壊状態でも、中の衣類が損害を受けていなければ、全損や半損と認められないこともあります」という。

 150万円の地震保険(家財)に入っていても、地震による一部損でもらえるのは7.5万円だけ。

 それでも地震保険の保険料は高い。たとえば、東京・木造住宅で500万円の地震保険(建物)に入る場合、保険料は年間1万5650円。家財の地震保険150万円なら、保険料は4700円。このケースでも毎年2万円以上払うことになる。地震保険には安直に加入するのではなく、本当にもらえるかどうか、本当に必要かどうかをよく考えてからにしたい。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

関連記事

トピックス

隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン