ライフ

日本に5752ある博物館「面白さはHPを見ればわかる」と専門家

 日本全国の博物館を訪ね歩いた人がいる。「なんて面白すぎる博物館」の著者、齋藤海仁さんだ。齋藤さんに博物館の楽しみ方、お勧めを聞いた。(取材・文=フリーライター神田憲行)

 * * *
 齋藤さんは世界的なビジュアル地理マガジン「ナショナルジオグラフィック日本版公式サイト」のウェブ編集者である。仕事の傍ら日本全国の博物館を訪ね歩き、昨年10月、国内10館の博物館の楽しみ方を紹介した「なんて面白すぎる博物館」(講談社ビーシー)を上梓した。北は北海道の「網走監獄」から南は石垣島にある蝶の個人経営の博物館まで、ページを開くたびに子どものころ親から与えられた図鑑を初めて開くような楽しさがある。

--そもそもどうして博物館にそんなに興味があるんです?
齋藤:子どものころからずっと好きだったんですよ。でも大人になると、あんまりいかないですよね。

--ええ、私も最近はとんどご無沙汰しています。
齋藤:博物館には大人の楽しみ方もあるんですよ。コツはそこの学芸員の方に説明を聞くこと。今はガイドツアーもありますし、私は取材でなくてもそのへんに立っている人にどんどん質問してます(笑)。良い博物館なら、学芸員も熱心ですし、面白い話がたくさん聞けますよ。

--良い博物館とは、どういう博物館でしょうか。
齋藤:やっている側の愛情が感じられるところです。そういうところは規模が小さくても予算が少なくても、学芸員が熱心なので展示にも工夫がある。HPが頻繁に更新されて内容が面白いところは、だいたい実際に訪れても面白いですね。

--逆につまらないところは?
齋藤:公立の歴史博物館とかに多い。博物館は博物館法で「社会教育施設」と位置づけられていて、公共事業にもなるし社会教育事業にもなるから建てられやすいんですが、そんな理由だけで建てられた博物館にはどこにも愛情がないですよね。いま国内に「博物館」と「博物館類似施設」をあわあせて5752館あるんですが、経営の苦しいところの大半は、展示も古くて工夫もない公立の歴史博物館です。逆に企業博物館は愛情が込められているので意外に面白いんですよ。

 そこで、齋藤さんにお勧め博物館を聞いた(コメントは齋藤さん)。

◇「ジャパンスネークセンター」(群馬県太田市)
 生きた蛇が見学できて、ガラスの仕切り越しにコブラが毒を飛ばす実演もあり、とくに今年は蛇年なのでイベントも多く企画されています。食堂で食べられるヘビ料理も美味しい。マムシのハンバーグと卵がお勧めです。

◇「神奈川県立生命の星・地球博物館」(神奈川県小田原市)
 王道的な博物館です。研究員もしっかりしていて、地球の歴史の展示あり、いろんな生物標本もいっぱいあって面白いですよ。ちゃんとした人がいるんです、ここ。

◇「大山祇神社宝物館」(愛媛県今治市大三島町)
 取材のついでにたまたま立ち寄って、私が腰を抜かした博物館です(笑)なんと武具・甲冑の国宝の7割か8割がここにあるんですよ。源義経が奉納した鎧とか、レプリカじゃなくて、本物が見られるんですから。

 最後に、今年で創刊125周年を迎える「ナショナル ジオグラフィック」誌の歴史を紹介する齋藤さんのコラム「そうだったのか!ナショナル ジオグラフィック」(http://nationalgeographic.jp/nng/article/20110518/270340/)も、博物館的に非常に面白いのでお勧めだ。

関連記事

トピックス

大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン