日本全国の博物館を訪ね歩いた人がいる。「なんて面白すぎる博物館」の著者、齋藤海仁さんだ。齋藤さんに博物館の楽しみ方、お勧めを聞いた。(取材・文=フリーライター神田憲行)
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齋藤さんは世界的なビジュアル地理マガジン「ナショナルジオグラフィック日本版公式サイト」のウェブ編集者である。仕事の傍ら日本全国の博物館を訪ね歩き、昨年10月、国内10館の博物館の楽しみ方を紹介した「なんて面白すぎる博物館」(講談社ビーシー)を上梓した。北は北海道の「網走監獄」から南は石垣島にある蝶の個人経営の博物館まで、ページを開くたびに子どものころ親から与えられた図鑑を初めて開くような楽しさがある。
--そもそもどうして博物館にそんなに興味があるんです?
齋藤:子どものころからずっと好きだったんですよ。でも大人になると、あんまりいかないですよね。
--ええ、私も最近はとんどご無沙汰しています。
齋藤:博物館には大人の楽しみ方もあるんですよ。コツはそこの学芸員の方に説明を聞くこと。今はガイドツアーもありますし、私は取材でなくてもそのへんに立っている人にどんどん質問してます(笑)。良い博物館なら、学芸員も熱心ですし、面白い話がたくさん聞けますよ。
--良い博物館とは、どういう博物館でしょうか。
齋藤:やっている側の愛情が感じられるところです。そういうところは規模が小さくても予算が少なくても、学芸員が熱心なので展示にも工夫がある。HPが頻繁に更新されて内容が面白いところは、だいたい実際に訪れても面白いですね。
--逆につまらないところは?
齋藤:公立の歴史博物館とかに多い。博物館は博物館法で「社会教育施設」と位置づけられていて、公共事業にもなるし社会教育事業にもなるから建てられやすいんですが、そんな理由だけで建てられた博物館にはどこにも愛情がないですよね。いま国内に「博物館」と「博物館類似施設」をあわあせて5752館あるんですが、経営の苦しいところの大半は、展示も古くて工夫もない公立の歴史博物館です。逆に企業博物館は愛情が込められているので意外に面白いんですよ。
そこで、齋藤さんにお勧め博物館を聞いた(コメントは齋藤さん)。
◇「ジャパンスネークセンター」(群馬県太田市)
生きた蛇が見学できて、ガラスの仕切り越しにコブラが毒を飛ばす実演もあり、とくに今年は蛇年なのでイベントも多く企画されています。食堂で食べられるヘビ料理も美味しい。マムシのハンバーグと卵がお勧めです。
◇「神奈川県立生命の星・地球博物館」(神奈川県小田原市)
王道的な博物館です。研究員もしっかりしていて、地球の歴史の展示あり、いろんな生物標本もいっぱいあって面白いですよ。ちゃんとした人がいるんです、ここ。
◇「大山祇神社宝物館」(愛媛県今治市大三島町)
取材のついでにたまたま立ち寄って、私が腰を抜かした博物館です(笑)なんと武具・甲冑の国宝の7割か8割がここにあるんですよ。源義経が奉納した鎧とか、レプリカじゃなくて、本物が見られるんですから。
最後に、今年で創刊125周年を迎える「ナショナル ジオグラフィック」誌の歴史を紹介する齋藤さんのコラム「そうだったのか!ナショナル ジオグラフィック」(http://nationalgeographic.jp/nng/article/20110518/270340/)も、博物館的に非常に面白いのでお勧めだ。