芸能

森進一 「演歌歌手と呼ばれるのは不愉快、自分は流行歌手」

 ジャーナリストの山藤章一郎氏による、「歌謡曲 林住期」。団塊世代を代表する歌手、森進一が鹿児島から上京して作曲家・チャーリー石黒のもとに弟子入りした。続けて、森が流行歌手として活躍した時代のことをジャーナリスト・鳥越俊太郎氏が訊く。

 1970年から10年間のレコード大賞受賞曲は、鳥越氏が冒頭で指摘した〈日本庶民共有の財産〉を生んだと鳥越氏は指摘する。そこには「今日でお別れ」「また逢う日まで」「喝采」「夜空」「襟裳岬」「シクラメンのかほり」「北の宿から」「勝手にしやがれ」「UFO」「魅せられて」などがあった。

 * * *
──最前線で歌っていて歌謡曲の時代を実感していましたか。

「もうガンガン来ましたね。後ろ向いてるひまないですから。追い立てられて夢中で。でもね、いまはみんなにチヤホヤされていい気分だけど、歌の世界なんて長く続くもんじゃないと、醒めた目が常にあったんです。30過ぎた流行歌手なんていない、走れるうちは走ろうと思ってるけど、いつも不安で。鹿児島に帰って寿司の板前になろうって。お寿司好きだから」

──30過ぎたら、終わり?

「そうです。だから事務所を独立しました。このままじゃ敷かれた線路を走るだけで、自分の先は見えてる。ただ歌しか知らない。

 ぼくらの世代であの時代に、独立や起業をした人は多くいましたよ。通じるものがあったのかな。歌の世界には、業界の人がいる。でもぼくは普通の人と仕事をしようと思ったんです。普通がいいと」

──普通? ですか。

「生活もなるべく普通にね、自然にね。いまは、家族がみんな出ていって寂しいから、一番売れた『港町ブルース』の表彰盾だけ飾っていますが、それまで家には歌や音楽に関するものは何もありませんでした。普通に、普通に」

──普通ではなく、自分はスターだと思わない?

「スターですか。スターねえ。思いませんでした。いまは売れてるけどすぐだめになる。頑張ってもだめなときはだめなはずだ。雨が降ったらどっちに流れていくか。フワフワ浮草みたいなもんだからって。いまでこそ、どこに流れてもいいやと思えますが、不安で不安で。スターですなんて、はるかどこかの人の話ですよ」

──あなたは演歌歌手ですか。

「そう思ったことはないです。周りはそういいますけど、そういわれるとむしろ不愉快に近いです。流行歌手ですよ。昔はレコード盤の真ん中に〈流行歌〉というシールが貼ってあった。あれを歌う人です」

※週刊ポスト2013年1月25日号

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン