国内

活断層を理由に原発止める規制委は世界の非常識と大前研一氏

 東日本大震災から2年近くが過ぎた。東京電力・福島第一原子力発電所の事故からも、ほぼ同じだけの時間が経っている。ところが、日本の政策は科学的・技術的・論理的思考のかけらもないと大前研一氏は指摘している。さらに、原子力発電所を停止する理由に挙げられる活断層の存在も、原発の存続の論議のためには世界の常識から逸脱していると解説する。

 * * *
 現在、原子力規制委員会は「活断層」を理由に原発の再稼働にストップをかけようとしている。すでに規制委は調査の結果、東通原発の敷地内の断層を活断層と断定し、敦賀原発の真下を走る断層も活断層の可能性が高いと判断、大飯原発も重要施設直下に活断層があれば停止を指示する方針を示している。

 しかし、昨年暮れ、福島でIAEA(国際原子力機関)の復興会議が開かれた際、地質学の権威であるNRC(アメリカ原子力規制委員会)のアリソン・マクファーレン委員長は「地層の一部を見ただけで活断層かどうかわかるのか?」と不思議そうに話していた。

 私と一緒に東電原子力改革監視委員会の委員を務めているデール・クライン元NRC委員長も「カリフォルニアの原発は地震多発地帯のサンアンドレアス断層の上にあるが、そんな議論は聞いたことがない」と驚いていた。

 そもそも、地表近くの地層から活断層かどうかを判断するのは至難の業である。百歩譲って活断層だったとしても、それがいつ、どのくらいの規模の地震を引き起こすのかを予測することは、ほぼ不可能だ。活断層型の強烈な中越沖地震に見舞われた東電・柏崎刈羽原発は、いずれもスクラム(緊急停止)には成功している。活断層があったら即停止、という規制委の姿勢は、いたずらに不安を煽る非科学的な魔女狩りだ。

 規制委が活断層を理由に原発を止めたままにしようとするのは、理屈からいえば至極当然である。彼らは、民主党政権から「規制委がOKなら再稼働」と下駄を預けられた。つまり、再稼働して万一事故が起きたら、自分たちの責任になる。永遠に停止していれば、永遠に責任を問われない。だから規制委の学者たちは保身のために一生懸命、活断層を探しているのだろう。

 しかし、活断層を理由に原発を再稼働させないという決断の責任は、とてつもなく大きい。このままでは太陽光発電を原発の発電コストの4倍で買い取るフィードインタリフ(固定価格買取制度)や円安などの影響により電気代は上がる一方で、貧しい人ほど負担が大きくなる。自分たちで自分たちの首を絞めているようなものである。

 その自覚や事実の積み重ねもないまま原発の存廃を論議している日本人は、世界の常識から逸脱していることに早く気づくべきなのだ。

※週刊ポスト2013年2月1日号

関連記事

トピックス

違法賭博胴元・ボウヤーが激白した「水原と大谷、本当の関係」
《大谷から26億円送金》「ヘイ、イッペイ。翔平が前を歩いてるぜ」“違法賭博の胴元”ボウヤーが明かした「脅しの真相」、水原から伝えられていた“相棒の素顔”
NEWSポストセブン
2022年にHKT48を卒業した松本日向
【ボートレース全国24場を踏破】元HKT48・松本日向が語る「趣味→仕事」の楽しさ「負けすぎて『ギャラないじゃん!』ってことも」
NEWSポストセブン
大谷の口座から26億円を受け取った胴元・ボウヤーが独占取材に応じた(Aflo)
《独占スクープ》大谷翔平の26億円を騙し取った“違法賭博の胴元”が告白!「水原一平、エンゼルスとの本当の関係」【蜜月ポーカー写真の存在】
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
《父・水谷豊は1人娘の背中をそっと押して》女優・趣里と三山凌輝、結婚発表の直前まで続いていた母・伊藤蘭との「家族会議」
NEWSポストセブン
比例でトップ当選を果たした石井章氏に浮上した“税金還流疑惑”(写真/共同通信社)
秘書給与不正受給疑惑の石井章・参院議員 2022年には“ファミリー企業”や“幽霊会社”への税金還流疑惑も
NEWSポストセブン
今年もMVPの最有力候補とされる大谷翔平(写真/Getty Images) 
《混迷深まるハワイ別荘訴訟》「大谷翔平は購入していない」疑惑浮上でセレブ購入者の悲痛、“大谷ブランド”を利用したビジネスに見え隠れする辣腕代理人の影
女性セブン
志穂美悦子との別居が報じられた長渕剛
《長渕剛・志穂美悦子についに別居報道》過去の熱愛スキャンダルの時も最後に帰った7億円豪邸“キャプテン・オブ・ザ・シップ御殿”…かつては冨永愛が訪問も
NEWSポストセブン
学校は誠実な姿を生徒たちに見せることができるだろうか(HPより)
《ゴルフの名門・沖学園高等学校で複数の暴力事案が発覚》激怒した寮長の投げた金属製コップが生徒の目元に直撃…流血で数針縫うケガ
NEWSポストセブン
死因は上半身などを複数回刺されたことによる失血死だった(時事通信フォト)
《神戸女性刺殺》谷本将志容疑者が被っていた「実直で優秀」という“仮面” 元勤務先社長は「現場をまとめるリーダーになってほしかったくらい」と証言
週刊ポスト
「部員は家族」と語ってきた中井哲之監督だが…(時事通信フォト)
“謝罪なし対応”の広陵高校野球部、推薦で入学予定だった有力選手たちが進路変更で大流出の危機 保護者は「力のある同級生が広陵への進学をやめると聞き、うちも…」
週刊ポスト
還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 大谷翔平「賭博トラブル」の胴元が独占告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 大谷翔平「賭博トラブル」の胴元が独占告白ほか
NEWSポストセブン