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サラリーマンに馴染みない確定申告 利用の準備、手続き解説

 大増税時代がやって来る。東日本大震災からの復興財源に充てるため、今年1月から所得税、来年6月から住民税の臨時増税が始まる。消費税は来年4月から8%に、再来年10月から10%に上がる。何とか対抗する手段はないのか。

 実は、サラリーマンが税金面で得する方法が新しくできる。それが昨年、税制改正された給与所得者の「特定支出控除」制度で、来年2月の申告から適用される。仕事に関連して使った必要経費を確定申告することによって、払いすぎた税金を取り戻すことが可能になったのだ。

 それを活用するには確定申告が必要になる。

 とはいえ、税金を天引きされるサラリーマンにとって、確定申告は馴染みがない。利用するためには、実際にどのような準備、手続きが必要なのかまず、大前提として、領収証を取っておくことが必要だ。 税理士の落合孝裕氏はこう解説する。

「領収証の宛名は会社ではなく自分の名前にしてもらいます。たとえばタクシー代のように、手書きの領収証をもらえない場合、レシートでもOKです」

 対象となる費用を年度末にまとめて計算しようとすると、手間も時間もかかって面倒だ。普段から表計算ソフトを使い、項目別に自動的に集計できるようにしておき、支出があるたびに記載する習慣をつけておけば、来年の申告時に慌てることはなくなる。自分で簡単にできるので、税理士に依頼する必要はない。

 次に、会社の証明書をもらう必要がある。税理士の福井大氏が説明する。

「以前から制度はありましたが、利用しているサラリーマンはほとんどいなかったので会社も把握していないケースが多い。窓口は経理なのか、総務なのか、どういう手続きを経るのかはいまのうちに相談しておきましょう」

 そして、確定申告の時期が近付いたら、税務署から申告書類を取り寄せる。こうして申告すれば、年収によって数万円から10数万円の還付を受けることができる。ただし、以下の点には注意が必要だ。

 いくら柔軟に認められる見込みとはいえ、職務の遂行にまったく関係のないものについて会社に「特定支出控除」の対象としての証明を求めてはいけない。たとえば私服の領収証について「特定支出控除」として会社に証明してもらい、万が一、税務署のチェックでそのことが露見した場合、「会社は脱税を幇助した形になり、法的な責任を問われかねない」(前出の福井氏)。そうなれば、自分も懲罰の対象となりかねない。

 マメに、賢く、そして正直に申告し、大増税時代を生き抜こうではないか。

※週刊ポスト2013年2月1日号

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