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ストーカー犯が同僚の場合はどうすればよいか 弁護士の見解

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「ストーカーを捕まえたら会社の同僚。どう対処すればよいのか」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 ストーカーの被害に遭っていました。友人たちに相談し、先日彼らの協力で犯人の女性を捕まえたのですが、驚くことに隣の部署で働いている顔見知りだったのです。これが赤の他人だったらすぐに訴えるのですが、同じ会社の同僚となると迷います。私は法的にどんな決断をすればよいと思いますか。

【回答】
 どんなストーカー行為があったのでしょうか。ストーカー規制法は、ある種の行為を「つきまとい等」と定義し、そのつきまといが一定の条件を満たしたときに、ストーカー行為になるとしています。そしてストーカー行為は、それだけで犯罪であり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰されます。ですが、親告罪といって、被害者の告訴が原則です。

 そこで、「つきまとい等」とは何かですが、恋愛感情が満たされない恨みを晴らすため、相手やその配偶者、さらに親子などに対して、次のことが必要です。

1:「つきまとい、待ち伏せ、立ちふさがり、住居等の付近で見張り、押しかけたりすること」
2:「行動監視していると思わせること」
3:「面会、交際を要求すること」
4:「著しく粗野又は乱暴な言動」
5:「無言電話、拒否を無視した連続電話やFAX送信」
6:「汚物、動物の死体等の送付」
7:「名誉を害する事項の告知」
8:「わいせつな発言や文書の送付」

 これらの行為が同一人に繰り返された場合に、ストーカー行為となります。ただし、1から4の行為は身体の安全、住居の平穏、名誉等に危害が及ぶ不安を感じさせる方法であることが必要です。しかし、ストーカー行為というまでには至らない「つきまとい等」の場合でも、警察は被害者の申し出で、相手に警告や禁止命令を出し、被害の発生を抑制します。禁止命令に違反すると処罰されます。

 女性の行為がつきまとい等に該当するのであれば、同僚でも警察に相談すべきです。ストーカー行為は特別な心理状態に駆られた可能性があり、素人で解決するのは困難な場合が大半です。ストーカー規制法では警察が被害者を支援することになっているので、適切な助言を受けられると思います。

※週刊ポスト2013年2月8日号

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