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巨人・伝説のキャンプ地宿舎 ONも金田正一相部屋で宿泊した

 今年もプロ野球キャンプは真っ盛り、連日各地から球春を告げるニュースが伝えられている。開幕前の大事な1か月間。しかし血気盛んな若い選手たちが集まれば、色々な“事件”が起きるのは当然だ。

 例えば、王・長嶋時代に巨人が宿舎にしていた宮崎県の「江南荘」は、現在主流となっている宿舎とは大きく異なっている。

 現在はリゾートホテルで各選手に個室が割り当てられるのに対し、畳張り、和式の旅館で、監督以外はどんな名選手でも相部屋。それはONだろうが、“天皇”と呼ばれたこの人だろうが例外ではなかった。1965年に国鉄から巨人に移籍した、400勝投手の金田正一氏である。

「国鉄時代の指宿キャンプの際、ワシは球場の近くに一軒家を借りて、専属の女中を雇い、そこから通うことを許されていた。しかし江南荘では6畳一間の狭い部屋で相部屋だから、エライ違いだ。最初はメリー(渡辺秀武)と一緒だったな。他の若手は大部屋に突っ込まれて、監督の川上(哲治)さんだけが個室だった」

 大部屋・相部屋では色々なドラマが生まれる。金田氏は“8時半の男”と呼ばれた名リリーフ・宮田征典氏とも一緒になったが、

「あいつは寝相がすごいんだ。寝るとき、いつも手を組んだまま身動き一つしない。あまりにも静かで、エジプトのファラオみたいな姿。死んどるんじゃないかと気持ち悪かったよ」

 ただ、大部屋の良さもあった。江南荘では、有名な「金田鍋」も振る舞われた。王・長嶋も部屋に来て、一緒に鍋をつついたという。

「練習の帰り道に自分で食材を仕入れて、自分で準備をする。ワシは1951年から、当時1本500円もするミネラルウォーターを飲んでいたほど食べる物にはこだわったからね。まわりの奴は出てくる料理を食べるしか知恵のない連中で、水まで気の回る者なんていなかったよ。

 これは国鉄時代から続けていた習慣なんだ。皆が5時間かかる練習をワシは2時間で切り上げる。投手でも1000本ノックを志願して、短い時間で汗をかいた。かき足りないと思った時は砂風呂にも入ったよ。ワシは、エネルギーは内臓から生まれるというのが持論だから、食事には気を遣ったし、気温で食べ物のメニューも変えたほどだ」

 こうしたプロ意識に、川上監督が文句をいうことはなかったという。この年から始まるV9の原動力ともなったといえるが、一方でやることはやっていた。

「一軒家じゃないから門限があって朝帰りができんのが困ったな。女の所から朝に戻ってくる時は、大淀川の途中で早朝ジョギングの休憩中のふりをして、選手の隊列に混じったりしたもんだ(笑い)」

※週刊ポスト2013年3月1日号

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