ライフ

米の食味ランキング1位・熊本産「森のくまさん」売切れ続出

 米どころといえば新潟で、おいしい米といえば「コシヒカリ」や「あきたこまち」──そんな常識はもう時代遅れになっている。日本穀物検定協会が発表した2012年産の「米の食味ランキング」で、熊本県産の「森のくまさん」が全国1位に選ばれたのだ。

「米の食味ランキング」は、日本穀物検定協会が1971年産の米から実施している食味官能試験。県の奨励品種で作付面積が一定の基準を満たすもの(一部除外あり)を対象としている。

 白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について、基準米(複数産地のコシヒカリのブレンド米)と比較評価する相対法で20名の“エキスパートパネラー”が白飯を食べて評価を下す。

「2012年産米で実施した128点の食味官能試験では、熊本の『森のくまさん』が最高点で、特に味が高く評価されました」(日本穀物検定協会常務理事・齊藤豊さん)

 現在、「森のくまさん」は売り切れ店続出で、入手困難という事態になっている。続いて僅差で、「ヒノヒカリ」(熊本)、「さがびより」(佐賀)、「なすひかり」(栃木)の3銘柄が同得点でランクイン。最高ランクとされる「特A」に入ったのは計29点で、その数は過去最高を記録となった。

 そのうち、11点は1979年から日本の作付面積1位(4割弱)を誇るコシヒカリ。世間でも「やっぱり、コシヒカリよね」(44才・専業主婦)という声も根強いなか、なぜ“新ブランド米”が台頭してきたのだろうか。

 記録的な冷夏で米が大凶作となり、“平成の米騒動”が起こったのは1993年のこと。タイ米を食べた思い出のある人も多いのでは? お米の五ツ星マイスター・西島豊造さんはこう語る。

「そこで、寒さや病気に強い品種への改良が加速化されました。それに、多様な品種を作付けすれば、リスクヘッジになります。また、1993年は米の一部自由化が行われたため、各県・各団体などが“環境に合わせたおいしい米を作らなければ”と考え、品種改良に努めてきました。改良の結果が出るには、少なくとも10年はかかる。その成果が表れたのがここ数年なんです」

 北海道では、冷害や病気に強い品種から、寒い地区でも粘りと甘みのあるおいしい米への品種改良が行われ、「ななつぼし」「ゆめぴりか」などが誕生。一方九州では、高温でも育つ米(高温耐性米)を求めた結果、地球温暖化にも対応できるとして、評価が高まっているのだ。

「今や米は主食ではなく、嗜好品とイメージされるようになっていますし、求める味わいも多種多様。TPPへの交渉参加を政府が表明しましたが、各地の農業機関、生産団体、農家も生き残るために、さらに個性ある米作りへの情熱が高まるでしょうね」(前出・西島さん)

※女性セブン2013年3月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
現場は246号線からすぐの場所だった
「マンションを出たら血溜まりが見えて…」世田谷・韓国籍40代女性切りつけ事件、近隣住民が証言 閑静な住宅街で“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン