国内

2.5万人と言われている待機児童数 潜在数は85万人との推計

 全国にいる待機児童数は約2万5000人。ただしこの数字には、預け先がないためにやむなく仕事を辞めてしまった家庭の子供や、認可外の施設に入って空き待ちをしている子供は含まれていない。そのため厚生労働省では、潜在的には約85万人もの待機児童がいると推計しているほどだ。

 統計上の待機児童数と「潜在的な待機児童」の数には大きな開きがある。「保育園ふやし隊@杉並」の代表・曽山恵理子さんの住む杉並区でも、公表される数字はわずか数十人レベル。だが、「そこに大きな落とし穴があるんです」と曽山さんは言う。

「実態はまったく違います。杉並区の認可保育所の場合、今年は希望者の3分の1しか入れていません。3分の2の約1800人が入所できないのが現実です。認可保育所に入れなかったかたは働くことを諦めて専業主婦になったり、認可外の施設を見つけたりするのですが、認可外の保育料は認可に比べて月2万~3万円も高かったりします。待機児童数にはそうした親たちの子供が含まれていません」

 曽山さんは母親たちから悩み相談があれば必ずアドバイスを送り、実際に希望に近い保育所に入所できるようになったケースもあった。その喜びはとても大きかったが、曽山さんの心に深く残っているのは、むしろ救えなかった母親たちのことだという。

 ある母親は3月になっても保育所が見つからず、会社に頼んで4月以降も育休を延長。その間も必死に保育所探しを続けたが見つからず、約2か月の育休の延長期間も終わってしまった。その後、“欠勤”を続けることで会社に籍を置かせてもらったものの、やはり預け先がなく、最後には仕事を辞めざるをえなかった。

 また、今年の2月には、シングルマザーから「保育所に入れない」との相談があった。その母親は、夫のDVにあって別居していたが、正式な離婚には至っていなかった。夫は無職のため、区役所の入所審査の基準では“夫の手があいているから保育できる環境にある”と判断されてしまったのだという。

「これって、どう考えてもおかしいですよね。彼女たちからは“一緒に区役所への相談について来てくれませんか”と依頼されたこともありましたが、平日の昼間は私自身の仕事もあってサポートしきれませんでした。彼女たちを救うことができなかったことが、今もすごく悔やまれるんです」(曽山さん)

※女性セブン2013年3月28日号

関連キーワード

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン