国内

46人検挙のカラーギャング 埼玉には青と黒の他にも複数存在

 統一されたカラーのバンダナ、ジャンパー、シャツ、パンツを身に纏って、集団で街を練り歩き、周囲を威嚇する若者たち。彼らは「カラーギャング」と呼ばれる不良集団である。2012年夏、埼玉で「青」と「黒」の2つの対立するギャングがぶつかり合い、3月末までに大量の逮捕者を出すという事態が起きた。彼らは一体、何者なのか──。

 JR桶川駅から徒歩で10分ほど、県道164号線沿いにあるショッピングセンターには、24時間営業のスーパーマーケットやファストフード店、ゲームセンター、パチンコ店などが入っている。典型的な郊外の大型商業施設だ。深夜でも明るいからだろうか、普段から地元の青ギャングの溜まり場になっていた。
 
 近隣住民がいう。
 
「昼間は青っぽい服を着た、明らかに中学生や高校生だとわかる子たちがタバコを吸っている。深夜には、改造車やバイクのクラクションを鳴らして大騒ぎをして、よく警察が来ていました。以前、駐車場に日本刀らしきものが落ちていて、“彼らが落としていったのだろう”と話題になった」
 
 2012年9月19日の公園でのリンチ事件から約2時間後。青ギャングのメンバー4人はショッピングセンターの駐車場で、黒ギャングのリーダーがやってくるのを待っていた。
 
 一方、黒ギャングは先ほどのケンカで面子を潰されている。報復に出向いて、返り討ちに遭うことは許されない。8人のコアメンバーに加え、地元・さいたま市北区の不良仲間や、西区で活動する暴走族にも声をかけ、24人の集団で桶川に向かった。
 
 相手に自分たちの到着を悟られないよう、直接ショッピングセンターにクルマやバイクを乗り付けず、離れたところで降りた。手に握りしめるのは木刀に角材、そして鈍く刃が光る模造刀である。
 
 黒ずくめの集団が夜の闇に紛れて忍び寄り、青ギャングのメンバー4人を急襲したのは午後11時すぎだった。不意打ちをくらった青ギャングは一方的に殴りつけられた。

 隙を見て逃げ出した者はショッピングセンターの店内に逃げ込んで保護されたが、すでに体中に暴行を受けていた。当時14歳から16歳だった被害者は、全治1週間から全治3週間の怪我を負った。捜査関係者がいう。
 
「抗争に関わった者の摘発を昨年10月から今年3月まで順次進めていった。結局、傷害や凶器準備集合などの容疑で、45人の少年と成人1人を検挙した。黒ギャングのリーダーは塗装工をしていた18歳の少年で、他のメンバーは現役の高校生や解体工など。青ギャングのリーダーは16歳で、こちらは中学生も数人含まれていた。
 
 両ギャングとも、逮捕後にリーダーが解散を宣言した。だが、埼玉県内にはまだ他にも複数のカラーギャングの存在が確認されている。一連の事件が他のチームを刺激して、暴力沙汰が波及しないように注視している」

※週刊ポスト2013年4月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン