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関東連合六本木殺人事件 凶器の金属バットは草野球でも使用

 昨年9月、東京・六本木のクラブで起きた金属バット殺人事件。警視庁は暴走族「関東連合」の元幹部ら18人を殺人容疑などで逮捕した。しかし東京地検は殺人罪での起訴はせず、うち9人を傷害致死罪など、6人を凶器準備集合罪で起訴。3人は不起訴処分とした。

「集団で金属バットを使い、人違いで殴り殺すという凶悪事件なのに、誰ひとり殺人罪で起訴できなかった。大量動員された捜査員は相当悔しがっている」(大手紙警視庁1課担当記者)

 逮捕された容疑者らは殺意を否定。殺意の立証で争点になったのは、金属バットの扱いだった。

「凶器が刃物なら黙っていても殺意が認められるが、金属バットではそうはいかない。そこで捜査員は、逮捕された元リーダーが著書のなかで、『襲撃には少年野球用の短くて軽いバットがうってつけ』『金属バットで遠慮なくフルスイングする』などと書いていることに注目。殺意の証明にしようと考えた。ところが、思わぬ事実がわかってしまったんです」(前出の記者)

 逃走用の車を用意したのは関東連合OBのAで、襲撃に使われた金属バットもその車に積んであった。Aはその理由を「野球に使うためだった」と供述。もちろん捜査員はその言葉を疑ったのだが……。

「調べてみると、実際にAらは草野球チームを組んでいた。関東連合の中核組織の愚連隊Mの元メンバーが中心。事件の数日後の週末に試合まで予定していて、捜査員は相手チームにも接触して確認したが、事実だった」(前出の記者)

 結局、金属バットは殺害のために用意されたとは断定できなくなった。それが決定打となり検察は殺人罪での起訴は見送った。関東連合関係者がいう。

「主犯格の元総長は海外へ逃亡中。逮捕されたメンバーの中には元総長に責任をなすりつける供述をしている者もいて、結束が揺らいでいるといわれている。しかし、殺人罪よりも軽い罪状での起訴にとどまったことで、胸をなで下ろし、わだかまりも溶けつつある。しかも、現在別件で服役中の有力OB2人が近々出所する予定で、もう一度、結束力が強まるはずです」

 警視庁は3月に関東連合OBグループを「準暴力団」に認定し、圧力を強めている。バット事件で決着がつかなかった両者の戦いは、延長戦に突入しそうだ。

※週刊ポスト2013年5月3・10日号

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