ライフ

漫画家一条ゆかりが語る「『ガラスの仮面』のすごさ」とは?

 漫画家の一条ゆかりと漫画研究家の藤本由香里が20年来のつきあいというふたり。会った途端、「なかよしよね」「りぼんがね」「少女フレンドはね」「少女コミックがね」と少女漫画トークで盛り上がるふたりに、少女漫画の今昔ついて語ってもらった。

 * * *
藤本:ほんと1970年代には、いろんなタイプの漫画家さんが出てきましたよね。美内すずえさんのガラスの仮面(1976年)はいかがですか?

一条:昔、有吉京子さんがSWAN(1976年)を描いていたとき、原稿を落としそうだからってアシスタントに行ったことがあるのね。ひと段落して、ふと横を見たら『ガラスの仮面』が山積みになっていて、それを1冊手にとったら、ついうっかり、ついうっかり、ついうっかりで1巻から15巻!(笑い)

藤本:あはははははは!

一条:なんなんでしょう。あの吸引力は!

藤本:『ガラスの仮面』のすごさは読み始めたらやめられないところ。どんどん先を読ませる力がありますよね。

一条:もうね、北島マヤのファッションがダサかろうがなんだろうが、おもしろいからどうでもいいの!(笑い)

藤本:1980年代に一条先生は有閑倶楽部(1981年)をお描きになっていますけど、80年代はひとり主人公じゃない、群像劇が増えた時代でしたね。

一条:私、弓月光に言われたことがあるの。きょうだいが多い人は、たくさんの主人公を出す傾向があるって。私は6人きょうだいなんだけど、そういえば私、登場人物をガンガン出すなと。

藤本:なるほど! わかる!

一条:でしょ!? それ聞いたときに目からウロコで“弓月! だてにマンガたくさん読んでないね!”って(笑い)。そんな常に人が大勢いる環境で育ったから、みんなで話をしていても、誰かひとりがポツンとしていたらわかっちゃう。“あ、つまんなそうにしてる、いけないわ、ここで帰らせてなるものか!──みたいな(笑い)。大阪のお笑い芸人みたいなところがあって、やはり西の血でしょうか…。

藤本:(笑い)。有閑倶楽部はギャグも満載で、それまでの作品とだいぶ違いますよね。

一条:みなさん私は恋愛ものばかり描くと思っているでしょ。だから有閑倶楽部を描いたときは「私こんなこともできますのよ、オホホ!」というのを1回やってみたかった。本当はそっち方面のほうが得意なの。

 実は恋愛って主人公が急激に成長できるという、すごい便利な“ツール”なんです。私はストーリーが不自然になるのがとてもイヤなんですが、恋愛を描くと、登場人物が今まで考えなかった、やらなかったことを自然に始める。何をやってもナチュラルに表現できるんですね。

藤本:好きだからしょうがない(笑い)。

一条:そうそうそう。あとどんな理不尽もOK。お友達関係のお話には正義もタブーも存在するけれど、恋愛は正義もタブーもない。私、やっちゃいけないって言われると描きたくなる。これまで私が描いてないのって獣姦ぐらいだと思う(笑い)。

※女性セブン2013年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン