芸能

千葉真一 やりたいことは「教え子が主演する映画の脇で出る」

 日本が世界に誇るアクション俳優、千葉真一氏は、JAC(ジャパンアクションクラブ)を創設し、後進の育成にも長年取り組んできた。育ててきた教え子たちへの思いについての千葉真一氏の言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が綴る。

 * * *
 千葉真一の創設したJAC(ジャパンアクションクラブ)からは、真田広之、志穂美悦子、堤真一、春田純一といったスター、名優たちが数多く輩出されてきた。彼らは、体を張ったアクションに留まらず、ホームドラマやコメディ、シリアスなドラマなどもこなしている。そこには、千葉の確固たる育成方針があった。

「JACではアクションを教えているわけではありません。そもそもアクションというのはアメリカの監督が言う『レディ、カメラ、アクション』の『アクション』なんです。それは『演技しましょう』ということです。ですからJACの正式名称は『日本演技クラブ』なんですよ。アクションというと飛んだり跳ねたりと錯覚してしまうけど、そうじゃない。演技なんです。

 千葉はJACの教え子たちの主演作に自ら助演として参加することも多い。『百地三太夫』を始めとする幾多の真田広之主演作、黒崎輝主演映画『伊賀野カバ丸』、大葉健二主演テレビシリーズ『宇宙刑事ギャバン』……。30代前半にして後進の育成を行い、40代で自身もトップスターのうちに後進の活躍に華を添える。それは、当時の映画スターでは珍しいことであった。

「映画俳優は映画俳優を絶対に育てません。自分より大きくなったら困るわけですから。だからどんな新人も上から叩かれる。

 でも、僕はオリンピックを目指していたので、スポーツ選手を育てる感覚なんです。『俺よりいい記録を出せよ』と。役者でいえば、俺よりいいギャラをとるようになれ、ということです。それが上に立つ人間として当たり前のことなんですよ。

 だから、教え子が主演する映画の脇で出るというのは、僕が一番やりたかったことなんです。お前ら、俺を超えてゆけ、と」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか。

※週刊ポスト2013年6月28日号

関連記事

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン