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子供の頃の夏休みの記憶がよみがえってくる2冊の漫画

【マンガ紹介】
『天然コケッコー(9)』/くらもちふさこ/集英社/630円 『雨無村役場産業課兼観光係』/岩本ナオ/小学館/420円

 おばあちゃんの古い家。畳でお昼寝(もちろんクーラーじゃなくて扇風機をつけて)。広い縁側でスイカ。みんなで花火……夏が来ると思い出すのは、いくつになっても、いつの時代も、虚実ないまぜになった子供のころのこんな記憶ではないでしょうか。こんな夏を経験するのはなかなか難しいものですが、くらもちふさこ『天然コケッコー』にはそれがフルコースで揃っています!

 中学生のそよが暮らす、山も海もある小さな村に、東京からの転校生大沢くんがやってきて…というお話。この村の子供たちの夏の行動で新鮮だったのが、川ではなくて、海にスイカとトマトを浮かべて冷やして食べること。よくあるのかな? ほんのり塩味がついておいしいかも!

 これでもか、とさまざまな季節のノスタルジックな風景が投入されていますが、わざとらしさはゼロ。それが彼らにとっての「日常」だから丹念に描かれているだけ。そしてそんな「場」だから起こる、思春期の少年少女たちの小さくも切実な出来事と、心のやりとりもまぶしく切なく。

 岩本ナオ『雨無村役場産業課兼観光係』の舞台も素敵な村。東京の大学を卒業後、地元の雨無村に戻り、役場の観光係に就職した銀一郎。しっかり者のメグと、村を出て俳優になった澄緒、二人の幼なじみとともに村おこしに奮闘します。

 巨大な桜の木の下でお花見をするなど、うっとりするような美しい光景も登場しますが、この村の魅力を、銀一郎はこう言います。「対向車来たときに絶対向こうがよけて待っててくれたり 道で会った高校生があいさつしてくれたり そうゆうことってどこにでもあるわけじゃないから」。

 東京に行って戻ってきた銀一郎だからこそ気づいたことなのかもしれません。マンガの中で描かれる素敵な「故郷」は、私の故郷ではないのに、「ここに帰りたい」という気持ちになってきます。お盆休みに帰省できない、あるいは都会が故郷です、というかた、今年の夏はぜひこの2冊の故郷へ帰ってください。

(文/門倉紫麻)

※女性セブン2013年8月22・29日号

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