大場克則さん(61)(撮影/山口比佐夫)
2025年の暮れ、「JC・JK流行語大賞2025のBeReal.部門」で1位を獲得したのは、アイドルでも芸人でもなく、還暦を迎えた一人の男性だった。「江戸走り」の研究家、大場克則さん(61)だ。
独特な手の動きと軽やかな足取りで真横に走る「横走り」。パリ・サンジェルマンの選手がTikTokでマネをするなど、世界的な注目を集めている。一見すると面白い動きをするおじさんだが、その素顔は大手企業で開発に明け暮れた“バリバリの理系技術者”だという。なぜ彼は走り始めたのか。その半生を本人に聞いた。【前後編の前編】
膝の痛みと悔しさが原動力
──そもそも、なぜ2014年から江戸走りの研究を始めたのでしょうか。
「きっかけは、100キロマラソンでのリタイアなんです。2013年に友達から『一緒に走ろうよ』と軽いノリで誘われて参加したんですが、65キロ地点で膝が痛くなってリタイアしてしまったんです。
それがものすごく悔しくて。なんとか膝を痛めずに走れないかと調べる中で、古武術の文献に出会いました。『江戸時代の人は1日100キロ、時には160キロ走れた』という記述を見て、彼らにできて自分にできないはずがないと思って研究を始めたのがきっかけです」
