弾圧されるウイグルの人々(日本ウイグル協会提供)
中国・新疆ウイグル自治区に関する「ウイグル問題」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。中国当局がウイグル自治区内のウイグル人に対して「テロ対策」などを名目に、大規模な同化政策、弾圧を行っていることを指す。しかし日本に入ってくる情報は限られており、実情を把握している人は少ない。
中国当局によってウイグル人へ行われている強制避妊手術、強制収容施設や親戚制度の存在、AIによる行動監視──現地では、耳を疑うようなことが横行しているというのだ。
日本で問題の周知活動を行う「日本ウイグル協会」のレテプ・アフメット会長に聞いた。【全4回の第1回】
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中国当局が圧力を強める大きな転機となったのは、ウイグルの中心都市・ウルムチで2009年に行われた抗議活動を発端とした、ウイグル人と漢族の大規模な衝突だった。
同年6月、中国広東省の玩具工場で中国人がウイグル人労働者を襲撃し多数の死傷者が出た。この事件について当局側の正式な説明を求めるため、同年7月には大学生を中心としたウイグル人1000人程度が市の中心部の人民広場に集まり抗議デモを開催。すると、人民解放軍や武装警察が動員され、非武装のデモ隊へ発砲を開始したのだ。デモ隊と当局の衝突は関係のない街の住民や商店への襲撃にも発展し、多くの死傷者が出る結果となった。当局の発表では死者約200人、負傷者1600人で、被害者は漢族が多かったとされているが、ウイグル族の被害はさらに大きかった可能性があると指摘する声もある。
中国当局はこの事件についてウイグル側の「組織的なテロ」と一方的に断定。国内でのウイグル族の独自性を尊重する声は影を潜め、教育現場でのウイグル語の排除、イスラム教徒の慣習であるヒジャブの着用や公共の場での礼拝を禁止するなどの同化政策が進められることとなった。
さらに事態が悪化したのは、チベット自治区トップを務めていた陳全国(ちん・ぜんこく)が新疆ウイグル自治区トップに就任した2016年秋だ。陳氏は苛烈な同化政策に西側諸国からの批判が高まり、後に左遷されたことでも有名だ。
