ビジネス

「お盆玉」「恵方巻き」「甘酒」 冬の習慣が夏に登場する訳

 お盆を前に売れているものがある。ポチ袋だ。正月にお年玉を渡すように、お盆休みに孫や子、親戚の子どもたちにお小遣いを配る「お盆玉」が、少しずつ広がっている。先ごろは、大手スーパーやコンビニが夏の節分(8月6日)に向けて「夏の恵方巻」を展開。冬の習慣やイベントが装いを変えて夏にもお目見えし、新たな商機を伺っている。

 大手企業の夏のボーナスが前年比4.99%増となった今年、お盆玉を広げようと、売り場を拡充する店舗が増えている。池袋のロフトには、かき氷や海など、涼やかなポチ袋がずらりと並ぶ。先月の売り上げは、昨年に比べて10%以上増となった。もともと一部地域では、親が、お盆に田舎に帰省した子や孫に小遣いを渡す「お盆玉」の習慣があった。夏にポチ袋を購入するのも50~70代が多いという。

 節分に、その年の恵方を向いて食べると縁起がよいとされる恵方巻き。最近はコンビニを中心に、“夏の節分”に向けても販売されるようになってきた。現在は立春の前(2月3日)を節分と呼んでいるが、そもそも節分とは季節の分かれ目のことで、立春、立夏、立秋、立冬の前日はすべて節分ということになる。

 セブンイレブンによると恵方巻きは「古くは四季の変わり目である『節分』ごとに食べていた」ものだという。冬だけではないのだ、と、昨年からコンビニ各社は7月から販売を開始するなど、夏の恵方巻き定着を狙ってきた。「縁起ものですし、夏休みに家族で分け合って食べるのにもちょうどいい。冬に比べるとまだ認知度は低いですが、毎年展開していくことで、根付かせていきたい」と、大手スーパー店員は語る。

 習慣というわけはないが、冬に飲まれることが多かった甘酒も、昨今、夏の飲料として注目を浴びている。実は甘酒は夏の季語。江戸時代は、甘酒売りが夏の風物詩だったという。その習慣を復活させようとスーパーなどが冷やし甘酒を並べるようになると、栄養満点で、猛暑における夏バテ対策飲料として、人気を集めるようになった。

 こうした状況について「風習や歴史を背景にした説得力のある意味づけが、差別化につながっている」と語るのは、ニッセイ基礎研究所准主任研究員の久我尚子氏だ。

「安くて高品質なものはすでに溢れています。消費者は、目新しさや面白さを求めている。そうした差別化を図るには、付加価値や意味づけが重要になってくるんです。モノを売るにもコトを売るにも、これまでにない、別の側面を見せる必要がある。そんななか、季節の習慣やイベントは、企業側にとっても消費者にとっても、積極的な意味づけを感じることのできる大切な要素になっています」

 販売機会の拡大を狙って、忘れかけていた“季節のイベント”は増えていきそうだ。

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン