スポーツ

甲子園の高校球児 熱中症対策のためベンチは冷房効いている

 甲子園で高校野球が続いている。しかし四万十川で40度越えを記録するような猛暑の中でプレーをすることに、疑問視する声もネットにある。熱中症対策はどうなっているのか、取材した。(取材・文=フリー・ライター神田憲行)

 * * *
 ネットで甲子園で野球をすることを疑問視する「根拠」となっているのが、日本体育協会がまとめた「熱中症予防ガイドライン」のなかにある「熱中症予防のための運動指針」だ。そこには〈乾球温度35度以上 運動は原則禁止〉という趣旨のことが書いてある。甲子園ではもちろん気温35度を超える。日体協のガイドラインに反する行為ではないか。日体協総務部広報課によると、

「このガイドラインは指針ということで、なにもこれに絶対に従わなくてはいけない、ということではありません。あくまで参考としていだたければということです」

 という。同協会のスポーツ科学研究室では「熱中症対策は、各スポーツの競技・運動特性によって異なってきます」と前置きして、

「熱中症の危険性があるのは、炎天下で長時間、のべつくまなくずっと身体を動かしているような競技です。野球では投手以外は守っていてもずっと身体を動かしているわけではなく、攻撃時にはベンチの中にいます。だから我々の調査でも、甲子園のような『(試合の)大会』では、熱中症は起きにくいと考えられているんです。野球で注意すべきなのは、むしろ練習時ですね」

 同研究室は高校野球連盟の医科学委員会と連携して、10年以上、野球の熱中症予防の研究をしてきたという。

 では実際の甲子園では具体的にどのような熱中症対策が取られているのだろうか。高野連広報担当者によると、

「まず試合前、試合中、試合後の給水を呼びかけて、ミネラル・ウォーターやスポーツ・ドリンクを大きなボトルで各出場校に提供しています。無くなれば補給します」

 試合中、ネクストサークルに向かう打者が控えの選手からコップ一杯の水を差し出されて、グイッと一杯引っかけるように飲んでから出て行く姿を試合中継で見たことがある人もいるだろう。あれが「給水」活動だ。さらに、「試合中はベンチの背面の壁とイスの間に設置してあるクーラーから冷風を出しています」。

 なんと甲子園のベンチにはクーラーがかかっているのだ。ある投手は「ベンチに戻ってくるとクーラーの風を扇風機で送って身体に当てています。水は守りから戻ってきたときと、守りに行くときとコップ一杯ずつ飲んでいます」。

 熱さで選手が倒れるようなシーンは誰も見たくない。身体に十分注意して、プレーして欲しい。

関連記事

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン