芸能

劇団四季の人気ミュージカル『ウィキッド』を出演者語り合う

 約4年ぶりに東京公演がスタートしたげ劇団四季の話題作『ウィキッド』(東京・電通四季劇場[海]にて)。“リピートする女性客が最も多い”といわれる理由を探りに、密着取材してきました!

「オープニングは、毎日毎日稽古してきました。いかに物語を起こせるかどうかがかかっているので……いちばん気を使いますね」

 善い魔女・グリンダを2008年から演じている苫田亜沙子は言う。

 ブロードウェーで開幕してから今年で10年目。その爆発的なヒットから「ウィキッド現象」と呼ばれ、日本に上陸したのが2007年。以降、多くの女性たちが「人生を変えたミュージカル」と言っている。

「最初に結末があって、そうなるまでを描くストーリー展開なので、まず完成形のグリンダになっていなければならないんです。そして(上演する)3時間でクレッシェンド(“だんだん大きく”という音楽記号)のようにもう一度未完成な少女から、完成形までをつくり上げていく、というのが難しいところです。“愛される”だけのグリンダが、さまざまな経験を経て、悲しみも知り、“愛すること”を学んでいく。一方で、オズの国のトップとしての風格も兼ね備えていきます」(苫田)

 初演時から俳優自体も変わってきているという。

「愛する男性フィエロが、親友エルファバと去っていってしまう悲しさが、年を重ねたせいか(笑い)、よりリアルに感じられるようになりましたね。

 実感するセリフは生きているので、自然と変化してきたと思います。昔は“私を捨てるなんて”という、勝気な感じの方が強かったかなと…。今はふたりが去っていく姿を見ている時に、いろいろ切ない複雑な気持ちが湧いてくるんです」(苫田)

 初演時から悪い魔女・エルファバを演じてきた樋口麻美にとっても、今回のエルファバはこれまでと変わった点があるという。

「6月まで『鹿鳴館』に出演していたんですが、ストレートプレイ(歌と踊りがない演劇)で戯曲の素晴らしさと同時に、明瞭なセリフがいかに大切かを学びました。

 それと同時に、これまでのミュージカルで、私はセリフをここまで大事にできていただろうか、“セリフを語る”ことに対してもっともっと真摯に向き合わなくてはならないのではないかと思ったんです。実際、“私、みどり色なのよ”というセリフも、“みどり”を強調したくてヘンに節を付けるクセがあったんですが、徹底的に直しました」(樋口)

 セリフを話す前にイメージをしっかり持つことが大切だという。

「しゃべりながら抑揚をつけると節が出て、日本語を濁してしまうので。音圧もしっかり揃え、母音をはっきりしゃべることを大切にしています。でも、今日も演出家から“みどり”が落ちてる(※)とダメ出しされました。みどり(MIDORI)の“イオイ”という3つの母音が聞こえない。それに、みどりっていうイメージがちゃんとできていませんでした。イメージしてから発声しないと、お客さまには伝わらない。それは、全幕で求められています」(樋口)

※女性セブン2013年8月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン