芸能

『十津川警部』渡哲也・渡瀬恒彦兄弟初対決に至るまでの苦労

 1992年4月に第1作が放送されてから実に21年間。2時間ドラマの中でもとりわけ長寿を誇る『西村京太郎サスペンス十津川警部シリーズ』(TBS系)が、9月9日放送で50作目を迎える。

 記念すべき50作目の作品『消えたタンカー』の見どころは、なんといっても十津川警部役の主演・渡瀬恒彦(69才)と実兄・渡哲也(71才)の3度目となる共演だ。しかも初めての兄弟対決。

 2時間ドラマの醍醐味といえば、“いかにも怪しげな”だったり“まさかこの人が”といった登場人物のなかから「誰が犯人か」を推理すること。しかし今回、シリーズ当初からプロデューサーを務める森下和清さんが、番組記者会見で「渡さんには犯人役をお願いしました」と、あっさりと明かしたのだ。

「視聴者のかたがたに、渡さんがどんな犯罪者役をやるのか、その渡さんを渡瀬さんがどう追い詰めるのかに注目してほしかったからなんです」

 と森下さん。実はこの兄弟共演が実現するまでには、紆余曲折があったのだという。

「ぼくは渡さんの大ファンで、いつか兄弟共演をしてほしいという思いがずっとありました。そこで今回、渡さんに出演を依頼すると、2年前に『帰郷』(TBS系)で兄弟共演をした時に、会見で『兄弟共演はこれで最後です』と言ってしまったから、NGだと。真面目なかたなので、言ったからには出られないとおっしゃるんですね。弱ったなぁと思いました(苦笑)」(森下さん)

 それでも森下さんは諦めなかった。

「渡瀬さんにも『なんとか口説いてほしい』と頼み込んでね。『そんなに言うんなら、おれも力を貸すよ』と言ってくれました」(森下さん)

 渡瀬も、兄の出演に向けて本腰を入れた。

「ぼくとしても50作ということもあって、なんとかもう一度、兄貴とやりたいという思いがあったんです。兄貴に電話したら“難しい”というので、直接、自宅に頼みに行ったりもしましたよ」(渡瀬)

 口説くこと、およそ1か月。渡がようやく「本(脚本)を見せてくれ」と折れた。

「今度は渡さんに合う役を原作から探したのですが、どうしても見つからない。そこで、西村京太郎さん(82才)に原作を変える許可を得て、原作には出てこないオリジナルの役を考えたんです」(森下さん)

 そして決まった今回の兄弟共演に、渡瀬も顔をほころばせる。

「兄は体調がよくないので“人に迷惑をかけないか”と心配していました。だから、通常2週間で撮り終えるところを、特別にスケジュールを緩くしてもらって乗り切りました」(渡瀬)

 森下さんは、渡瀬がこれまでの現場とは違う表情を見せていたという。

「普段は“仕切り屋”で、スタッフにあれこれ指示を出す渡瀬さんが、渡さんが現場に来る時は急に“弟”になるんです。1時間前に来て渡さんを待っていたり、自分の出番のない時でも、渡さんの芝居を見ていたり。すごく兄弟愛を感じました。お兄さんを尊敬し、お兄さんが大好きなんだなぁって」

 渡瀬自身は、兄・渡をどう思っているのだろうか。本人に聞くと、こんな言葉が返ってきた。

「兄は俳優としていちばんいい時期に石原プロに尽くしているんですよ。ある時、兄に『どうして石原プロなの?』と聞いたら、『裕次郎さんだ』と言うんです。『裕次郎さんが何?』と聞くと、『優しいんだ』と。人を許すことができる裕次郎さんの器の大きさ・それと同じようなものを、ぼくは兄から感じるんです」

 今回の『消えたタンカー』は、巨大タンカーが炎上沈没し、生き残った船員が次々に殺されていくという、西村作品のなかでもとりわけスケールが大きく、映像化が難しいといわれてきた作品。そのなかで渡が演じるのは、事件の鍵を握る元船長だ。

 いつもなら、最後のシーンは、十津川警部と亀井刑事が一緒に犯人の元を訪れるところを、今回は十津川がひとりで元船長を訪れる“兄弟ツーショット”になっている。

「あのシーンの兄、素敵でしたね。ああいう場面って、人間の重みみたいなのが出てくるんでしょうね」

 共演シーンを振り返りながら、渡瀬が相好を崩した。

※女性セブン2013年9月19日号

関連記事

トピックス

虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
亡くなったアンナ・ケプラーさん(TikTokより)
巨大クルーズ船で米・チアリーダー(18)が“謎の死”「首を絞められたような2つのアザ」「FBIが捜査状況を明かさず…」《元恋人が証言した“事件の予兆”》
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)
【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
主演映画『TOKYOタクシー』が公開中の木村拓哉
《映画『TOKYOタクシー』も話題》“キムタク”という矜持とともにさらなる高みを目指して歩み続ける木村拓哉が見せた“進化する大人”の姿
女性セブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト
CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン