国際情報

中国は官製デフレ ぜいたく禁止令で高級酒の売り上げ半減も

 日本ではアベノクミスの行方が注目されるが、中国では官製デフレが進行しつつあるという。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 習近平指導部の打ち出した目玉政策である「八項規定 六項禁令」、俗称「ぜいたく禁止令」がボディブローのように中国経済を苦しめている。

 国酒とされる茅台酒(まおたいしゅ)は対前年比でわずかに3.6%の伸びにとどまり、プラス50%であった前年から大きく落ち込むことになった。茅台酒メーカーの業績が発表されると株価はストップ安となり、2日間で株価総額が170億元も失われるという事態にも陥った。この惨状を受けてメディアは高級酒市場の変化を一斉に報じている。

 高級酒の価格が上海の店頭での表示は500mlで1588元だが、その下の「現価」という表示では1298元となっていて実際には2割ほど値を下げていることが分かるのだ。五糧液は同じく1109元が850元にまで値を下げているのだ。月に10万元の売り上げが見込めたが、いまはせいぜい5、6千元しかないと答える酒店店主の言葉を紹介するメディアもあった。

 ぜいたく禁止令の影響は高級酒にとどまらない。官僚たちに公金による宴会を禁止したあおりを受けて業績が落ち込んだのは高級レストランチェーンで上場企業の湘鄂情だ。こうしたレストランはいま低価格化への努力を始めており、なかにはファーストフード店としての再生に踏み切ろうとしているところもあると伝えられ、北京ダックの老舗である全衆徳でさえそうしたレストランの一つに数えられるという。

 中国で生き残るためには“政治の風”を読むことが必至という教訓を噛みしめる時代が再びやってきたということなのだが、それにしてもデフレの脱却が大きな課題だった日本に比べて官製のデフレをやってのける中国のその意図を日本人は容易には理解できないはずだ。ただその狙いが不満層の人気取りと聞けば納得もできるのではないだろうか。

 結局、経済を冷やしても「役人いじめ」を政治が演出する構造は、日本とも共通する話なのだから。

関連キーワード

トピックス

「お芝居はまだ勉強中」と話す莉玖(写真は本人のインスタより)
【主演映画も決定】平野紫耀の弟・平野莉玖、デビューまでの道のり アパレル事業から俳優へ、伏せていた兄との関係を明かしたタイミング
女性セブン
ハワイの別荘と合わせて、真美子夫人との愛の巣には約40億円を投資
【12億円新居購入】大谷翔平、“水原一平騒動”で予想外の引っ越し 日系コミュニティーと距離を置き“利便性より静けさ”を重視か
女性セブン
「Number_iなんで出ないの?」『ZIP!』が番組表に「話題MV」記載も「出演ナシ」にファン困惑 日本テレビ・TOBEによる「緊急変更の正式回答」
「Number_iなんで出ないの?」『ZIP!』が番組表に「話題MV」記載も「出演ナシ」にファン困惑 日本テレビ・TOBEによる「緊急変更の正式回答」
NEWSポストセブン
復帰したほしのあき
《10年ぶり芸能界復帰のほしのあき》グラドル仲間のSNSうつり込みで密かに手応え感じた「復帰タイミング」
NEWSポストセブン
大牟田署に入る浪川総裁
《抗争で死者14名》敵対していた九州暴力団「道仁会」「浪川会」トップ2人が突然の引退 直撃に明かした「引退後の生活」
NEWSポストセブン
パルテノン神殿での佳子さま
ギリシャをご訪問の佳子さま、パルテノン神殿では青と白の“ギリシャカラー”のカジュアルな装いでお出まし
女性セブン
早くも今夏から『SHOGUN 将軍』新シーズンの脚本に取り掛かるという(写真/CNP=時事)
【独占告白】真田広之と手塚理美の次男・日南人が俳優に 父からのエール「自分のやりたいことをやれ。何かあれば相談に乗る」
女性セブン
不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者
【青森密閉殺人】会社社長の殺人を支えた元社員は覚醒剤常習者「目がイッちゃって…」「人を殺すなら中国人に頼めば5〜6万円で跡形もなく……」の意味深発言
NEWSポストセブン
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
噺家生活15周年を迎えた月亭方正(撮影/小倉雄一郎)
「僕は居心地がよくなかった」 噺家生活15年・月亭方正が落語にのめり込んだ理由 立川志の輔に「『鼠穴』を教えてください」と直談判
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン