ライフ

口腔がん 飲酒や喫煙、その他ウイルスなどを因子として発症

 口腔がんは、舌や歯肉、頬粘膜などに発症する腫瘍だ。飲酒や喫煙、不適切な補綴(ほてい)物など機械的刺激、その他ウイルスなどが危険因子としてあげられており、患者は中高年以上の男性が多い。ステージI、IIの早期がんは術後の機能障害も比較的軽微だが、局所進行口腔がんの手術は大きく切除することから、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんか)、会話など日常生活に関わる機能に障害が起こる。

 そこで、進行口腔がんの口腔機能と容貌温存のために開発されたのが逆行性超選択的動注化学放射線療法(動注CCRT)だ。

 横浜市立大学附属病院口腔外科の光藤(みつどう)健司准教授に話を聞いた。

「この治療は、耳の前後にある浅側頭(せんそくとう)動脈、あるいは後頭(こうとう)動脈からカテーテルを入れ、がんに栄養を補給する栄養動脈に留置し、抗がん剤を直接投与する動注化学療法と放射線を組み合わせた治療です。

 高濃度の抗がん剤をがんの組織に直接送ることができるため、少ない投与量で高い治療効果が得られ、全身的な副作用が軽減できるよう開発されました。さらにカテーテルを留置できるので、同時に放射線治療を連日行なうことができ、一層治療効果を高め、手術を回避することが可能になりました」

 化学療法は通常経口、あるいは静脈から投与するので、抗がん剤が全身に回り目標のがんに到達するまでに低い濃度になり、治療効果が得られにくくなるだけでなく、正常細胞まで抗がん剤の毒性の影響を受けることになる。この治療ではこれらの影響を軽減することが可能だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
国仲涼子が『ちゅらさん』出演当時の思い出を振り返る
国仲涼子が語る“田中好子さんの思い出”と“相撲への愛” 『ちゅらさん』母娘の絆から始まった相撲部屋通い「体があたる時の音がたまらない」
週刊ポスト
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン