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木嶋佳苗被告の私小説「普通の人には書けないレベル」と識者

 婚活サイトで知り合った複数の男性を手玉に取り、金銭を巻き上げたすえ、自殺に見せかけて殺害した男性連続不審死事件。木嶋佳苗被告(38)の控訴審が、10月17日から始まった。
 
 3件の殺人罪などで昨年4月に死刑判決を受けてから1年半。その間、彼女は自らの半生を綴った私小説を完成させていた。少女時代から彼女の男性遍歴のすべてが描かれたその赤裸々な内容が『女性自身』(10月29日号)で明かされている。
 
 とくに目を引くのは、詳細な性描写だ。主人公の「木山花菜」は16歳、高校2年の夏に、予備校の夏期講習を受けるために滞在していた札幌市内のホテルで、32歳の建築士と初体験をする。ここでは、「男性の精液を初めて飲んだのもこの年だった」との記述がある。
 
 やがて「花菜」は東京で就職。東京では建設業の「健ちゃん」と情事に明け暮れる。
 
 行為については拘置所内に参考資料もなく、木嶋被告自身が体験したことだけを綴ったという。比較文学者の小谷野敦氏はこう話す。
 
「普通の人には書けないレベルだと思います。セックス描写が多く判断しづらいが、〈男性の精液を初めて飲んだ〉という記述も美化せずに事実を書いてて、リアリティーがある。全体的に知性も感じられます。内田春菊をほうふつとさせます。自分に都合の悪い部分まで包み隠さず書けているのか、小説全体を読んでみたいですね」
 
 1年半かけて綴られたその中味は41冊の大学ノート、約3000ページにもわたるが、これまで公開された部分に、事件について触れた部分は一切ない。
 
 控訴審の法廷で彼女の口から何が語られるのか。

※週刊ポスト2013年11月1日号

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