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ネット悪ふざけ投稿に「食に対する感謝の気持ちない」と有名禅僧

「食」の問題について語る人気禅僧の枡野さん

 庭園デザイナーとして世界中を飛び回り、日常生活に活かせる禅を綴った本は、出る本、出る本がベストセラーという曹洞宗徳雄山建功寺住職の枡野俊明さん。『禅と食「生きる」を整える』(小学館)では「食」について説いている。現代人の食生活の乱れや、若者たちの食をおざなりにしたSNS悪ふざけ投稿問題など、現代の食をいかに見直したらいいか、枡野さんにインタビューを行った。

――食べ物は心も作るとのことですが、実際に野菜中心の食事にはどんな影響が?

枡野:野菜を食べていると、不思議と心が穏やかになります。よく、肉を食べると奮い立って闘争的になると昔から言われていますが、実際、格闘技をやる人は、闘いの前に肉を食べないと、奮い立つような力がでないと言います。その対極にあるのが野菜なんでしょうね。

――著書でも野菜断食をお薦めされていますが、どういう食材を食べるのがいいですか?

枡野:大豆とかごまとかがいいですね。精進料理では、タンパク質や油分はごまや大豆のものをとります。また、精進料理ではニラ、にんにく、ねぎといった強いにおいのものは食べません。

――精進料理を食べていると美肌になるとか。

枡野:雲水(禅宗の修行僧)の修行として精進料理を食べ続けていると、ふた月から百日ぐらいすると、不思議とみんな肌の色が白く透けるような感じになってくるんですよ。肉や魚を一切食べていないからでしょうね。肉料理を食べていると体臭が強く出るものですが、体臭の強い人でも、それがいつの間にかなくなってきます。簡素な精進料理を食べていると、おなか壊すなんてことは絶対にないんです。満腹に食べられませんし、動物性たんぱく質も摂りませんから、はじめた半月からひと月くらいでみんな必ず栄養失調か脚気になりますが、3か月ほどすると必ず自然に全員治ります。体の慣れと治癒能力ですね。

――私たちが精進料理を日常生活に取り入れるには?

枡野:私が思うに、野菜中心の生活は体に負荷が少ないと思うんです。ですから週に1度くらいは野菜だけの日を作る野菜断食してみて、自分の体に合うと思ったら少しづつ増やしていくといいのではないでしょうか。

――現代は、お子さんにジャンクフードやファストフードを多く食べさせている家庭も多いと思います。そういった食生活の乱れについてどう思われますか?

枡野:今、家庭からその家ごとの家庭の味、“おふくろの味”が消えつつあります。でき合いのお惣菜ばかり買ってくるとか、コンビニ弁当を食べることが増えると、味付けも非常に偏っていますし栄養バランスも良くないですから、できる限り少なくしていった方がいいですね。ご両親お二人ともが仕事をしていて全部を手作りするのが難しければ、何かひとつだけ自分で頑張るとか、味をアレンジしてみるなどの工夫が必要だと思います。

――家族バラバラで食事する家庭も増え、家族が何を食べたか把握できていないなんてことも。

枡野:現代の子供達たちの食傾向を“孤欠個固(コケコッコ)”というそうです。孤食、欠食、個食、固食という意味ですが、家族それぞれの帰宅時間がバラバラでひとりで食事をしたり、食事を抜く、一緒に食事をしていてもひとりだけ違うものを食べている。固定した食を食べ続ける…。昔は普通にあった家族団欒の風景が失われつつある時代になっているんですね。家族というのは、食卓を囲むことによって自然に誰が何をしてるという会話になるんです。そういう場が今失われていますから、週1回みんなが揃って食べる日を作ったらいいのでないかと思います。

――飲食店などで若者たちが食を使ってふざけた数々のネット投稿が社会問題に。食を疎かにする姿が目立ちます。

枡野:それは言語道断ですね。ただ面白おかしくして、農家の人が汗水たらして一生懸命作ったものに対する感謝の気持ちが全くないわけですからね。家庭や学校での教育の問題ですね。怒らなくなったのはダメだと私は思います。食材ができてくるプロセスが見えていないからで、そういったことや、食を通して物事に対する姿勢など、向き合い方をちゃんと教えることが大事ですね。もちろん食だけに限られたことではありませんが。

【枡野俊明(ますの・しゅんみょう)】
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科 教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の庭の創作活動により、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年『ニューズウィーク』日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選出。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。


撮影■藤岡雅樹

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