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2013.11.07 16:00  週刊ポスト

草刈正雄 ハリウッド俳優と日本人の芝居の違いに落ち込んだ

 モデルから俳優へ転向し、ブロマイドの売り上げが年間1位を記録するほどの人気を獲得したあとの草刈正雄は、二枚目からコメディまで芝居の幅も広がった。ところが、小松左京原作、深作欣二監督の大作映画『復活の日』(1980年)でハリウッド俳優たちと共演して役者としての自信は吹っ飛ばされた。しばらくは落ち込んだと草刈が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が解説する。

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 1980年に公開された映画『復活の日』は、南極にいるわずかな研究者たちを残し、人類が細菌兵器により死に絶えるという壮大なSF作品だった。多額の予算が組まれ、南極、カナダ、アンデスといった世界各地で大々的なロケ撮影が敢行されるなど、邦画史上でも類を見ないスケールとなった。草刈正雄は、その主演に起用されている。

『復活の日』にはジョージ・ケネディ、チャック・コナーズ、ロバート・ボーン、ヘンリー・シルバ、オリビア・ハッセー、ボー・スヴェンソンといった錚々たる俳優陣もハリウッドから参加している。

「オリビアさんとのラブシーンでは、深作欣二監督は50回くらいのテイクを撮りました。こちらもアガっていたんですよ。オリビアさんは文句を言わずに付き合ってくれて、ありがたかった。

 全ての撮影を終えてラッシュで見たら、アメリカ人のシーンと日本人のシーンのあまりの芝居の違いに、しばらく落ち込みました。全く違う映画に見えた。とにかく、芝居をしているかどうなのか分からないくらい彼らは自然な感じなんですよ。

 僕らはテンションを上げて『よーい、スタート』となったらパッと始めるんですが、向こうの人は監督の『スタート』がかかっても芝居をやらないんです。時間が経ってから、やおら動き始める。役者って『スタート』と言われても本当はすぐに切り替えられるものではありません。そのため、彼らは自分のタイミングで演じている。たえず中心に俳優がいる。本来はそういうものだと思います。画の中では俳優が中心じゃないと。

 両者の違いをしばらく引きずってしまいましてね。それを励ましてくれたのが、夏八木勲さんでした。南極ロケでの日本人俳優は僕ら二人だけでしたが、本当に面倒を見てもらいました」(草刈)

●草刈正雄氏は11月28日より、ミュージカル『クリスマス・キャロル』に出演。東京・シアター1010、神戸・新神戸オリエンタル劇場など全国で公演予定。詳細はスイセイ・ミュージカルまで。

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか新刊『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(文芸春秋刊)が11月14日に発売。

※週刊ポスト2013年11月8・15日号

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