国際情報

緊迫北朝鮮情勢 数百人規模の粛清に続き、戦争煽る危険性も

 2013年12月、北朝鮮のNo.2だった張成沢国防委員会副委員長が突然逮捕、銃殺された。「北朝鮮はいつ何をするかわからない」という恐怖に、世界は震撼。独裁者・金正恩第一書記は次に何をするつもりなのか。『父・金正日と私 金正男独占告白』(文藝春秋刊)の著者で東京新聞編集委員の五味洋治さんはこう読む。

 * * *
 張成沢氏の裁判の判決文を読むと、軍人の中に仲間がいたとか、海外に資源を安く売ったといった表現があります。

 それらは張氏ひとりではできないので、今後は数か月かけて張氏に繋がる人間を処刑していくでしょう。その規模は最大2万人ともいわれていますが、私は数百人ではないかと見ています。

 粛清によって、短期的には国内を引き締める効果はあるものの、長い目で見れば、指導者に対する失望感が大きくなって、体制は揺らいでいく可能性が高いでしょう。

 対外的な緊張状態が高まるのは、今年の春。2013年も2月に核実験、3月と5月にミサイル発射と、挑発的な行動を取りましたが、今年も韓国とアメリカの合同軍事演習に対して、戦争危機を煽る可能性は高い。昨年は張氏が戦争にストップをかけたといわれていますが、今度は彼がいない。

 父親の金正日氏は度々中国を訪問して関係を深めましたが、正恩氏は指導者になって以来、一度も中国に行っていません。もはや国際的にも国内的にも、誰も彼にストップがかけられない状態です。

 国境地帯に1万発並んでいるともいわれるミサイルで、実際にソウルが火の海になる可能性もあります。

 安否不明となっている正恩氏の異母兄弟・金正男氏とは、私が2012年1月に本を出版して以来、接触できていません。張氏と親しく、開明派だった彼が後継者だったらどうなっていたか…。

 いずれにしても、金正恩体制は今年、東アジア最大の懸念材料になるでしょうし、私たちはいつ爆発するかわからない爆弾がすぐ隣にある不安な毎日を過ごすことになります。

※女性セブン2014年1月23日号

関連記事

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン