芸能

『リーガルハイ』脚本家・古沢良太氏 ヒット生み出す仕事術

ドラマ『リーガルハイ』の脚本家・古沢良太氏

 昨年は『半沢直樹』『あまちゃん』とテレビドラマから生まれた流行語が時代を席巻した。今年もドラマ人気は高い。そこで、『リーガルハイ』『相棒』『鈴木先生』といった人気ドラマの脚本家・古沢良太氏(40)の発想の現場を訪ねた。

 ジュリー。ネスプレッソ。そして「一人会議」をしながらウロウロ歩き回れる空間(?)さえあれば、古沢氏は名作ドラマを生み出せるらしい。

「こうやって歩きながら、例えば今だったら次の『相棒』は何の話にしようかって、仮想古沢AとBが企画会議をしたり、役者AとBが実際に台詞をやり取りする時もある。その時の僕には実体がないというか、ほとんど無意識に近いかもしれません」

 平均視聴率18.9%と好評のうちに終了した『リーガルハイ』でも、堺雅人演じる古美門研介と岡田将生演じる羽生晴樹弁護士が対決した法廷シーンは今や伝説となり、異見と異見のぶつかる瞬間や、そのあわいに生じる答えの出ない空間が、古沢作品の命だ。

 ユーモアや毒舌の応酬のうちに全ての価値は相対的でしかないと気づかせてくれる作品群を生んだこの6+3畳の仕事場から、彼は近々「もう少しウロウロできる部屋」に越す予定。それでも間取りは9+7畳というから、ささやかだ。

「僕はウルトラマンを観ながら、頭の中で自分がもっと面白いと思う“別の筋のウルトラマン”を観ている、タチの悪~い子供だったんです。今はそれが仕事になったけど、人を楽しませたいとかだけじゃなく、耳の痛くなる意地悪なことも含めて、観る人の心をいじくれなくちゃダメだと思ってる。僕自身、『七人の侍』とか、人の作った“いい作りもの”に刺激を受けてきたので、自分も上達を楽しんでいきたい」

 ある程度シーンや台詞が固まるとおもむろに机に向かい、PCに“落とす”。朝は息子を保育園へ送り、“出勤”は9時半ごろ。昼食は蕎麦屋などで軽く済ませ、夕方帰宅するまでの間は、ほとんど“立ち仕事”だ。

■古沢良太(こさわ・りょうた):1973年神奈川県生まれ。2002年『アシ!』で第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞しデビュー。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、ドラマ『ゴンゾウ 伝説の刑事』で向田邦子賞など。その他『相棒』『外事警察』『鈴木先生』『リーガルハイ』、映画『キサラギ』『探偵はBARにいる』等。

撮影■国府田利光
取材・文■橋本紀子

※週刊ポスト2014年1月24日号

関連記事

トピックス

真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
国内統計史上最高気温となる41.8度を観測した群馬県伊勢崎市。写真は42度を示す伊勢崎駅前の温度計。8月5日(時事通信フォト)
《猛暑を喜ぶ人たちと嘆く人たち》「観測史上最高気温」の地では観光客増加への期待 ”お年寄りの原宿”では衣料品店が頭を抱える、立地により”格差”が出ているショッピングモールも
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン