ビジネス

資生堂次期社長はジョージアと爽健美茶のヒット手掛けた人物

 大手化粧品会社「資生堂」が4月1日付で就任する次期社長を内部昇格ではなく、外部登用すると発表した。「日本コカ・コーラ」で社長、会長を歴任した魚谷雅彦氏(59)だ。伝統がある分だけ“しがらみ”も多いはずの老舗企業。「外様社長」は2013年3月期に8年ぶりの赤字転落となった資生堂を立て直せるのか。

「死ぬまでに一度、これまでの経験を日本企業で活かしたいと思っていた」
 
 昨年のクリスマス・イブ。サプライズ人事の発表会見で、魚谷氏はこう述べた。180センチを超える長身と健康的に日焼けした肌。精悍さを漂わせる魚谷氏は、主に外資系企業でマーケティングの専門家としてその手腕を発揮。資生堂には、昨年4月にマーケティング統括顧問として招聘された。
 
 魚谷氏のいうマーケティング戦略とは、広告や市場調査に限ったものではない。商品開発から流通まで、経営すべてに「顧客の視点を取り入れる」ことだという。それを実践したのが、今では誰もが知っている「ジョージア」と「爽健美茶」のヒットである。
 
 魚谷氏は1994年、外資系食品会社から日本コカ・コーラに副社長として入社。缶コーヒー市場でサントリーの「ボス」の後塵を拝していた「ジョージア」の立て直しを命じられた。
 
 米本社で決められた広告を就任後1週間でストップ。日本のサラリーマンに響く広告を第一に考え、〈男のやすらぎキャンペーン〉を展開し、男性向け商品にもかかわらず、女性タレントの飯島直子をCMに起用した。それにより、ジョージアの国内シェアは10ポイントもアップ。その後に続く吉本興業のお笑いタレント総出の〈明日があるさキャンペーン〉も魚谷氏の主導である。
 
 頭打ちだったお茶市場も拡大させた。マーケティングから浮かび上がったのは「家でも入れられるお茶をペットボトルで買う必要はない」という顧客の意識。それを逆手にとり、「家では絶対に作れないお茶」の開発を求め、10種類の茶葉をブレンドした「爽健美茶」を販売。若い女性を中心に爆発的にヒットした。
 
「近年の資生堂の経営戦略は迷走。化粧品は専門店ではなく、ドラッグストアやネット通販が主戦場に変化しているのに上手く入り込めず、広告宣伝費のかけ方にも偏りがあった。すべてはマーケティングの失敗。その道のプロである魚谷氏は適任でしょう」(大手広告代理店マーケティング担当)

※週刊ポスト2014年1月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン