一方の細川はといえば、細川連立政権時代の森の体験では「お殿様は脇が甘い。開きっぱなしですよ(笑)。スキャンダルを攻めて揺さぶりをかけたら、本人はすぐに戦意喪失した」という。
とっくに政治への執着はなかったはずなのに、再び表舞台に登場する気になったのは「かご」が小泉のお手製だったからだ。細川は『週刊ポスト』新春特大号でも、なんと「エッチなお姉さん」壇蜜と官能美をテーマに対談している。
自分が乗るかごが立派だったり、話す相手が好みに合えば、ホイホイと出てくるのだ。事前宣伝の思惑もあったかもしれないが、このあたりは殿様ならではである。
都知事選に勝ったとして、どんな仕事をしてくれるのだろうか。私も原発は止めたほうがいいと思うが、76歳の殿様が本当に「時代を変える反主流派」になれるだろうか。やや心もとない。勝ったとしても、かつての政権のように途中で放り出さなければいいが……。
(文中敬称略)
文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。
※週刊ポスト2014年1月31日号