芸能

NHK「紙の月」で原田知世演じる「中年妻の孤独」に共感集まる

 ヒット作が出ると、その傾向を反映した作品が多くなる。一方で、そういうタイミングだからこそ魅力的に映るまったく異質な作品もある。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 今クールのドラマは、「医療モノ」「刑事モノ」がやたら目立ちます。おそらく、「ドクターX」「相棒」「半沢直樹」といった人気ドラマが放った影響なのでしょう。

 まったくの絵空ごとより、「社会と接点のあるリアルな舞台設定」の方が、視聴者の反応がいい。テレビ局がそう「学習した」結果、と言えるのかもしれません。

 中でも今クールにおいて、刑事ドラマは約3分の1を占めているようです。毎回事件がからむことで、派手なアクションをはじめ謎解きや推理的な要素が盛り込めて、視聴者の関心を惹きつけ続けることができて一石二鳥、と踏んだのかも。

 しかし、そうは問屋が卸すのかどうか。観る側としては、どれもこれも似たりよったりといった印象が否めない。選択の幅が狭まることは、視聴者にとってメリットではありません。

 そんな中、ちょっと異色の静かなドラマが女性たちの間でじわじわと評判になっています。

 視聴率も上がり調子のNHKドラマ10「紙の月」(火曜日午後10時 原作・角田光代)。子どもがいない夫婦の物語です。主人公は41歳の主婦・梨花。久しぶりにテレビドラマに姿を現した原田知世が、いい味を出しながら演じています。

 性格的には地味、おとなしく専業主婦の人生を歩んできた梨花。子どもはできなかったけれど、夫も悪い人ではないし一生懸命働いてくれている。けれども、夫は私が本当に望んでいることを理解していないのではないか? そのことに気付いてしまった、妻の孤独がテーマです。

「いったい自分は何のために生きてきたのか」

 そう自分に問い始める。

 問い始めたとたん、転落が始まる。若い男に心をひかれ、預金者から金を詐取し、あげくの果てに海外へ逃亡。

 正直に言えば、ストーリー展開はかなり拙速で強引です。

 ドラマ枠が5回と限定されているせいか、若い男にハマっていくプロセスは今ひとつ説得力が足りず。ホテルのスウィートルームに一週間泊まるあたりもなんとも唐突。

 普通の主婦がそこまで一気に豹変するのか、という疑問を抱きつつ、しかし、原田知世の横顔に、孤独な中年女性のリアルを感じて、ついつい引き込まれてしまうから不思議です。

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン