国内

都知事選出馬・五十嵐政一氏「カジノ誘致で安倍首相に打電」

 都知事選に出馬した候補者は実に16人にのぼった。「泡沫候補者」と呼ばれる人たちは、何を目指して出馬するのか。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が五十嵐政一氏の選挙に密着した。(文中敬称略)

 * * *
 選挙公報に自ら「へんな日本人」と書いていたのが五十嵐政一(82)だ。1969年からマレーシアにて日本企業の誘致や、カジノ運営に携わってきたという御仁は、選挙事務所を兼ねた大田区南六郷の自宅で電話中だった。

「秋葉原駅の前に広場があるでしょ? そこがJRの土地かどうかを確認したいの。駅長さんを出してもらえる? 電話をたらい回しにされて、もう1時間以上も電話しているじゃないの!」

 JR職員の困った顔が浮かんだ。海外在住が長いからか、五十嵐の話す日本語はなぜかおネエ調である。

 彼は2012年に続く2度目の都知事選出馬だが、前回は9候補中最下位に終わった。選挙を戦う上で重要な3バン(地盤、看板、鞄)のない彼らのような泡沫候補は、街頭演説を行なうにも準備に時間を要する。彼に「昨日、中松さんが秋葉原駅前で演説していましたよ」と教えてあげた。

 選挙期間中、彼の訴えた政策はたったひとつ、カジノの誘致だった。

「羽田空港脇に外国人限定のカジノを建て、外貨を財源にする。年間5000億ぐらいにはなるでしょう。カジノをやるには政府の認可が必要。だから昨日、安倍(晋三)さんに打電しました。早く認可してくれ、と」

 彼はマレーシア国王殿下からPMCなる称号をもらっており、国会へは顔パス。大臣ともホットラインで通話が可能という。

「サムスンという会社があるでしょ。私が作ったの」

 えっ? 慌てて秘書の役割を担う人物が補足した。

「サムスンがまだ100人ぐらいの時、五十嵐がマレーシアに誘致したんですよ」

 さぞやマレーシアでは優雅な暮らしをしていると思うだろうが、取材場所となった築28年という東京の自宅は、老朽化が進み、実につましい。そこに所狭しと調度品や、立派な額に入ったマレーシア人妻とのツーショット写真が飾られている。もはや何が真実なのかわからなくなってくる。

※週刊ポスト2014年2月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン