ビジネス

消費税引き上げで輸出企業はトクする 「輸出戻し税」の仕組み

 4月から消費税率が引き上げられ、車の価格には車両本体価格(税引き)に8%の税金が上乗せされる。だが、実は、客が支払った消費税を自動車メーカーは1円も国に納めてはいない。こうした奇妙なことが起きるのは、払わなければならない税額より、国から還付される税額の方が大きくなる「輸出戻し税」の制度があるからだ。その仕組みはこうだ。

 企業が製品を輸出した場合、「外国の消費者には税金分を価格転嫁できない」という理由で、輸出製品の生産のために仕入れた部品や原材料の価格に含まれている消費税分を国が輸出企業に戻す。

 自動車、電機など輸出比率が高い企業は、国内販売分で納めなければならない消費税の金額より、輸出販売分で戻ってくる税額の方が多くなる。その差額が「消費税還付金」であり、税率が上がるほど金額も増える。

 元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏が消費税が「5%」から「8%」になると、輸出上位10社の還付金がいくら増えるかを推算すると、その総額は年間ざっと1兆188億円。輸出企業は円安で儲かったうえに、国民が苦しむ消費増税によって還付金が増える。これで社員へのベア還元をケチられてはたまらない。上位5社の還付金の数字は以下の通りだ。

【製造業輸出上位5社の還付金増加額の推算】
(企業名/税率5%(2012年4月~2013年3月)/税率8%(2014年4月~2015年3月)の順)

・トヨタ自動車/1801億円/2882億円
・日産自動車/906億円/1450億円
・ソニー/635億円/1016億円
・本田技研工業/563億円/901億円
・マツダ/504億円/806億円

 税率と還付金額は国税分と地方税分の合計額で、各社の有価証券報告書に基づき、湖東氏が試算した。

※週刊ポスト2014年2月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
関屋警部補を演じた原田大二郎(撮影/中庭愉生)
【放送50年特別インタビュー】原田大二郎が振り返る『Gメン\\\'75』の思い出、今だから話せる「関屋警部補が殉職した理由」 降板後も続いた丹波哲郎との良好な関係
週刊ポスト
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
東京都議選の開票を見守る自民党の木原誠二選対委員長(左)と井上信治・東京都連会長=22日夜、東京・永田町の同党本部(時事通信フォト)
《都議選で歴史的大敗》今や自民党は保守じゃない、参院選に向けてウリは2万円給付だけか 支持層から「時代について行けない集団」「消費期限切れ」「金払って党員になっても意味ない」の声
NEWSポストセブン
アナウンサーのオンカジ疑惑を早めに公表したフジテレビ(イメージ)
《オンカジの”儲からない”実態》逮捕されたフジテレビPは2400万円のマイナス、280億円賭けた「バカラのカリスマ」も数千万円のマイナス 勝てない前提のイカサマか
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン