「昨今増加しているシニア旅行者は、旅に目が肥えた方が多く、知的好奇心も旺盛なことから、世界遺産や音楽鑑賞などテーマのある旅が人気。特に世界遺産人気は根強く、文化の薫風高い欧州や、秘境や辺境と呼ばれる地がトレンドです。ただし秘境辺境と呼ばれる地、特にアフリカや南米などは個人旅行では行きづらい場所が多いため、パッケージ旅行がもっとも効率がよいと言えます。オペラ鑑賞など、チケットを要するものもツアーでの事前予約なら確実性がありますし、個人で手配するわずらわしさもありません」(千葉さん)
しかし、これまで旅行会社のパッケージ商品は、「2名1室利用」が基本であったため、友人を誘うことなど一定のハードルがあったという。
「スケジュール合わせや予算で、ツアー選びのときから気まずくなり、現地で気持ちが爆発……仲たがいするといったことも。また、熟年離婚や生涯独身が珍しくない団塊世代は、夫婦仲が良くても、一方が海外旅行にはまって、他方が留守番というのも珍しくありません。そうした中で旅行会社では、“おひとりさまツアー”企画、“女性おひとりさま限定”商品などを多く、造るようになってきているのです」(千葉さん)
前出のクラブツーリズムの調査でも、「ひとり旅ツアー」の認知が46.3%と半数近い値を示し、また実際に参加した人のほとんど(95.4%)が「また参加したい」と回答するなど、満足度の高さがうかがえる。
同社でも添乗員が同行する「おひとり参加限定の旅」のプランが充実。こうしたプランへの参加が不安だったり、詳しく様子を知りたかったりする人への説明会なども開催しており、キャンセル待ちが出るほどの盛況だという。
「特にクラブツーリズムの説明会では、ツアーに直結するものだけではなく、プロカメラマンによる“夜景撮影のコツ”、ナショナルジオグラフィック社による“野生動物観察”といったセミナーも無料実施。ツアーならではの高品質なサービスが人気となっています。
旅の醍醐味は、やっぱり“人との交流”。現地ガイドやツアー参加者との触れ合いだったり、帰国後の写真交換を約束し合うなど、新たな人の輪が広がっていくのもパッケージ旅行のポイント。1人でも楽しめる一方で、『同じツアーで気の合う人と出会って、旅仲間ができた』という方も多いです。同じツアーを選んだ背景には、共通の趣味があったり、経済状況が近い可能性があるなど、“新しいお友達を発見できる”場としても質が高いと思いますよ」(千葉さん)