スポーツ

五輪選手に「税金無駄遣い」批判する人こそ無駄な人間と識者

 ソチ五輪で一喜一憂している人も多いはず。しかし人の本性は失敗したときに現れる。メダルを逸した選手への大人な残念がり方を、大人力コラムニストの石原壮一郎氏が伝授する。

 * * *
 ソチでは連日、熱戦が繰り広げられています。どの国の選手もがんばってほしいとは思いつつ、やはり日本選手の活躍を期待せずにはいられません。前評判どおりに実力を発揮して、あるいは予想をいい方に裏切って、見事にメダルを獲得してくれた場合は、「よくやった!」「たいしたもんだ!」と素直に賞賛すればいいだけなので話は簡単です。

 しかし、ソチの水は甘いぞ、というケースばかりではありません。メダルを期待されていたのに、時の運に恵まれずに結果を残せない選手もいます。本人の無念さは、テレビの前でのほほんと見ているだけの私たちの想像をはるかに超えているでしょう。

 言うまでもありませんが、にわかファンの立場で勝手に期待して、十分にワクワクさせてもらっておきながら、期待外れの結果が出た途端に「だらしないなあ」と非難したり「裏切られたよ」と責めたりするのは、大人としてどうこうという以前に人間として論外。わかりもしないくせに敗因を分析したり、試合後にインタビューを受けたときの表情やコメントにケチをつけたりするのも、同じぐらいトホホでダメダメな行為です。

 もっとみっともないのが「税金を使って行っているくせに」という言い方で、さも自分は正当な批判をしているんだという顔をすること。「税金を使って~」というセリフを口にするのは、自分は貧しいプライドしか持ち合わせてなくて、人の弱み(に見える部分)に喜んでつけ込む人間で、しかもちょっと考えが足りませんと宣言しているも同然です。

 たしかに選手には税金が使われているかもしれませんが、偉そうに批判しているヤツが世話になっている道路などの生活インフラや教育や福祉のために使われている税金に比べたら微々たるもの。よっぽどの高額納税者以外は、実際に払った税金ではとてもまかなえない恩恵を受けています。選手を派遣するのにかかった税金と、そういう他人の足を引っ張って喜んでいるヤツのために使われている税金と、さて、どっちが無駄でしょうか。

 やや話がそれましたが、日本中が残念がるような結果が出た翌日、もし会社でこういう態度を取ったら、自分は気が利いていることを言ったつもりでも、部下や後輩には「ああ、ここまでチンケな人間だったのか」「この人はイザというときに自分を守ってくれないな」「今よくわかった。こいつは絶対に出世しない」と思われて、たちまち見切りをつけられるでしょう。家族の前で言った場合も、もともと少ない父親の威厳は完全に消滅します。

 ただ、実際にはそういう「やっちゃいけない反応」をする人が多いだけに、ここは大人を上げるチャンス。懐の深さや包容力や思いやりにあふれた残念がり方をすることで、周囲の尊敬を集めたり、意中の女性に「あら、素敵」と思ってもらったりしましょう。

あわせて読みたい

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン