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認知症の高齢者が交通事故 家族が監督責任問われることも

2014.03.01 07:00

 高齢になると、本人は「まだまだ運転には自信がある」と思っていても、家族に「危ないから免許は返納してほしい」といわれるケースが増えてくる。だが、「病院に行く時は車がないと困るし、妻と買い物に行く時だって、重い荷物を持って歩くのは大変」(70

 高齢になると、本人は「まだまだ運転には自信がある」と思っていても、家族に「危ないから免許は返納してほしい」といわれるケースが増えてくる。だが、「病院に行く時は車がないと困るし、妻と買い物に行く時だって、重い荷物を持って歩くのは大変」(70代男性)と、年をとればとるほど車を必要とする事情もあり、運転免許を更新するか返納するかはなかなか難しい選択だ。
 
 ただし、現実は高齢者ドライバーには強い逆風が吹いている。2012年11月には、76歳の男性が運転する軽トラックが路側帯に突っ込み、下校中の小学生を次々にはねる事故が発生。この男性には認知症の症状があったこともあり、高齢者の運転の危険性が問題になった。
 
 高知大学医学部の研究者らが2008年に行なった調査によると、調査対象とした認知症患者約7300人のうち、11%が認知症の診断を受けた後も運転をやめず、うち16%に当たる約130人が人身事故や物損事故を起こしていたという。
 
 さらに警察庁によると、2012年8月までの2年間に高速道路で起きた“逆走”447件のうち、約7割が65歳以上の運転者だった。万が一交通事故を起こし、被害者を出してしまったら、取り返しのつかない事態になる。
 
 民事では「不法行為に基づく損害賠償責任」を負うことになり、人身事故の場合には刑法の自動車運転過失致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われる可能性もある。運転して事故を起こした人が認知症で“責任能力なし”と判断された場合や、本人に損害賠償金を支払う能力がない場合には、家族が“監督責任”を問われることもあるのだ。
 
 最近では、運転免許を返納した人に対し、各都道府県は“特典”まで用意している。例えば警視庁では運送会社や信用金庫、ホテル、商店、飲食店などと提携し、さまざまな割引サービスを行なっているほか、美術館や公園での優待サービスもある。
 
 とくに車が必要ない人なら、返納するほうがお得なようだ。しかし一方では、高齢者の運転をサポートするような技術も日進月歩で、高齢者が運転を続ける環境も整ってきている。
 
「最近では人や障害物を察知して自動的に止まる機能がついた車も出てきているので、アクセルとブレーキを踏み間違えても危険は少ない。各自動車メーカーは、高齢者の被験者を使ってドライビングシミュレーターでデータを取り、研究開発を進めているので、高齢者のための対策技術は今後さらに進んでいくでしょう」(自動車ジャーナリストの清水和夫氏)
 
 自分の運転に不安があるという人は、とりあえずは「返納」ではなく、「自粛」という手もありそうだ。

※週刊ポスト2014年3月7日号

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