福島原発被害者支援かながわ弁護団団長代行の小賀坂徹・弁護士は、「このままでは被災者の難民化を招きかねない」と指摘する。
「被災者は原発事故で事実上の強制立ち退きを迫られている。被災者には責任は全くないのだから、移転先で同程度の広さの土地と家、農地を持つにはいくらかかるかを土地や家の補償基準にするべきです。しかし、国の基準額では新天地で再建を図る被災者が家を買うにはとても足りない。生活再建もできないまま置き去りにされてしまいます」
高台移転が始まった三陸の津波被災地ではすでに“難民化”が起きている。
仙台市の集団移転事業では、市が震災後に大きく下がった地価をもとに住民に示した買取価格は1平方メートル約2万円。ところが、市が整備した移転先の高台の土地分譲価格は5倍の約10万円だった。これでは新たなローン負担が重くなり、移転などできるはずがない。
「こんなに買い叩かれるなら売りたくない。集団移転には国からたっぷり補助金が入っているはずなのに、ボッタクリじゃないですか」
仮設住宅に避難中の住民からは怒りの声があがっている。
※週刊ポスト2014年3月14日号