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新聞世論調査 前提の説明次第で真逆の答え導き出すこと可能

 新聞は世論調査という名の“アンケート”を乱発し、その結果を大きく見出しに打つことで、自社の主張に合わせて世論を誘導しようとしている。たとえば、読売新聞が1月中旬に実施した電話全国世論調査には、こんな設問があった。

Q:「沖縄県のアメリカ軍普天間飛行場の移設問題で、仲井真知事は、政府の要請を受け、移設先となる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認しました。普天間飛行場を辺野古に移設する手続きが進んだことを、評価しますか、評価しませんか」

A:「評価する59% 評価しない28% 答えない13%」

 これが朝日の1月下旬の調査になると、こうなる。

Q:「19日にあった沖縄県名護市長選挙では、普天間飛行場の辺野古移設に反対する現職市長が当選しました。安倍政権は、選挙結果とは関係なく、移設を進める方針です。安倍政権のこうした姿勢を評価しますか。評価しませんか」

A:「評価する33% 評価しない46%」

 調査する時期が異なるとはいえ、世論調査の質問に、どのような前提の説明を付け加えるかによって、全く逆の答えを導き出している。

 産経の世論調査(今年2月)はもっと露骨である。「慰安婦募集の強制性を認めたと受け取れる『河野談話』について、軍や官憲による強制連行を裏付ける公的資料が見つかっていないほか、元慰安婦に対する調査のずさんさが指摘されているが」と前置きしたうえで、河野談話を見直すべきかを聞いている。

 そうして紙面では、〈「見直すべきだ」との回答が58.6%に達し、「見直すべきだと思わない」の23.8%を大きく上回った〉と書く。

 これだけ前提となる情報を与えられれば、「どう答えるのがまともかわかりますよね?」と脅されているようなものだ。こういった調査のやり方について、上智大学文学部新聞学科の渡辺久哲教授(メディア調査論)はいう。

「『ずさんさが指摘されているが』といわれれば、なかなか『見直すべきではない』とはいえません。これはバイアス質問の典型といえるでしょう。読売と朝日の場合、誘導とまでいい切れませんが、移設について与えられる情報によって、答えが変わってしまう人もいる。

 前置きなしで聞いた場合、どういう数字が出るかを考える必要があります。本来なら、そういった事実を知らない人、あるいは関心のない人がいて、『わからない』という人が無視できないぐらいの一定のボリュームになるはずです。

 世論調査というのは、いまこの時点でどうなっているのかという断面図を見せることが目的で、『わからない』という人がどのくらいいるかを知ることも大事です。そう考えれば、これらの設問は説明し過ぎではないか」

※週刊ポスト2014年3月21日号

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