ビジネス

FX戦略 新興国通貨への投資は控え米ドル・ユーロを狙うべき

 アメリカが金融緩和の縮小を開始したことで、新興国通貨からの投資マネーの引き上げが顕著になった。今後の為替相場はどう動くのか、為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。

 * * *
 今年の外国為替市場は、米ドル高がメインテーマになる。注目すべきポイントは、アメリカの量的金融緩和策の縮小(テーパリング)の行方だ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月、米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和縮小の開始を決定。米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの資産買い入れ額を毎月850億ドル(約8兆7000億円)から750億ドルに減らす方向へ舵を切った。

 100億ドルの減額は翌1月に実施されたが、FRBは同月末のFOMCで量的緩和の縮小継続を決め、買い入れ額を2月からさらに100億ドル減額し、月650億ドルとした。2回連続の緩和縮小の決定によって、FRBが手綱を緩めていないことが明確になったわけである。

 この縮小ペースでいくならば、3月以降のFOMCも、米国債などの買い入れ額を毎回100億ドルずつ減額していくと考えられる。つまり、年内にテーパリングが終了するスケジュールで動くはずだ。

 縮小が加速することがあっても、緩むことはないだろう。3月現在、ドル/円は調整局面にあるが、市場に大量に供給されている資金の蛇口が絞られることによって、今後、ドル高基調がより鮮明になると思われる。

 一方、アメリカの量的緩和の縮小によって、あらためて露わになったのが新興国の通貨と経済構造の脆弱さだ。新興国市場は、リスクを避けたい投資マネーの引き揚げに揺れ、不安と動揺が広がっている。

 1月には、アルゼンチン通貨ペソの急落を皮切りに、新興国通貨に売りが拡大。トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアルなどが米ドルに対して軒並み下落した。トルコ、インド、南アフリカは自国通貨の防衛のため、1月末に相次いで利上げしたものの、効果は続かず、通貨安の苦境に置かれたままだ。

 結論をいえば、新興国への投資は当分控えるべきである。誤解している投資家もいるが、新興国経済の不安を解消しようと、アメリカが配慮することはないといってよいだろう。そもそもFOMCが考えることはアメリカ経済だけである。昨年9月に量的緩和策の縮小開始を見送ったのも、アメリカの内部要因によって先送りされたにすぎない。

 景気の減速懸念と金融不安がある中国も、シャドーバンキング(影の銀行)問題などの波乱の芽を抱えている。中国経済が危うくなれば、連鎖的にオーストラリア経済にも悪い影響が出てくるだろう。

 新興国のこのような状況を考えると、投資先は自ずと米ドル、円、ユーロのメジャー通貨に絞られてくるのではないか。実際、新興国通貨を売って、ドルや円を買う動きが加速している。

※マネーポスト2014年春号

関連キーワード

トピックス

SNS上で拡散されている動画(Xより)
「“いじめ動画”関係者は始業式に不参加」「学校に一般の方が…」加害生徒の個人情報が拡散、YouTuberが自宅突撃も 県教委は「命にかかわる事態になりかねない」《栃木県》
NEWSポストセブン
女優・羽野晶紀と和泉元彌の母の節子さん(右・時事通信フォト)
《女優・羽野晶紀“嫁姑騒動”から24年目 の異変》元日に公開された和泉節子さんとの写真から伝わる「現在の距離感」
NEWSポストセブン
金屏風前での結婚会見(辻本達規Instagramより)
《慶事になぜ?》松井珠理奈の“金屏風会見”にあがる反感「わざわざ会見することもない」という声も 臨床心理士が指摘する「無意識の格付け」
NEWSポストセブン
命に別状はないとされている(TikTokより)
「クスリ漬けにされていたのでは」変わり果てた姿で発見された中国人インフルエンサー、薬物検査で陽性反応…肺感染症などの診断も【カンボジアの路上でホームレス状態で見つかる】
NEWSポストセブン
大谷翔平は何番を打つか
《どうなる? WBC侍ジャパンの打順》大谷翔平は「ドジャースと同じ1番打者」か、「前にランナーを留める3番打者」か…五十嵐亮太氏と福島良一氏が予想
週刊ポスト
杉本達治前福井県知事のセクハラ問題について調査報告書が公表された(時事通信フォト・調査報告書より)
〈体が熱くなるの〉〈スカートの中に手を…〉セクハラ1000通の杉本達治・元福井県知事が斉藤元彦・兵庫県知事と「上司・部下」の関係だった頃 2人の「共通点」とは
週刊ポスト
SNS上で拡散されている動画(Xより)
【栃木県・県立高校で暴行動画が拡散】学校の周りにインフルエンサーが殺到する事態に…県教育委は「命にかかわる状況」 弁護士は「典型的ないじめの構図」と指摘
NEWSポストセブン
中居の近影をキャッチ(2025年12月下旬)
《ゴルフ用ウェアで変装して百貨店に…》中居正広、外出頻度が増えている 表舞台では“盟友たち”が続々言及する理由
NEWSポストセブン
16年ぶりに写真集を出す皆藤愛子さん
16年ぶり写真集発売の皆藤愛子 「少し恥ずかしくなるくらいの素の姿や表情も、思い切って収めていただいています」
週刊ポスト
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
《へそ出しタトゥー美女の変わり果てた姿》中国インフルエンサー(20)がカンボジアの路上で発見、現地メディアに父親が答えた“娘と最後に連絡した日”【髪はボサボサ、うつろな表情】
NEWSポストセブン
米国によってニコラス・マドゥロ大統領が拘束された(時事通信フォト)
《大統領拘束を歓迎するベネズエラ国民の本音》「男女ともに裸にし、数日間眠らせず、窒息を繰り返させる…」国連に報告されていた“あまりに酷い拷問のリアル”
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン