ライフ

超難関・難病扱う獣医の「専門医」制度 小動物外科医は2人

 愛犬が「町の獣医さん」では診療が難しい難病になった場合、どうすればよいか。最近では日本でも、こうした難病を取り扱う「専門医」の資格を持つ獣医師も登場し始めている。

 3月19日に発売された『犬の名医さん100人データブック』(小学館刊)によると、「専門医」の凄さは、自らの専門分野において世界レベルの高い知識と技術、豊富な経験を持っていることだという。

 1人の獣医師が全ての分野のスペシャリストになるのには無理があるし、効率的ではない。そこで、分野を絞って専門性を極めていったのが専門医だ。そのハードルは高く、たとえばアメリカでは、こんな難関を突破しなければならない。

 まず、大学卒業後に厳しい競争を勝ち抜いてインターンになった上で、専門医が常駐する病院でレジデント研修に挑む。そこで徹底した専門教育を受け、一般開業医が一生かけて診る症例数を数年間でこなすなどの経験を積み、さらに専門医試験や論文提出など複数の厳しい条件をクリアして、ようやく専門医の称号が与えられる。

 欧米ですでに広まっている専門医制度が、日本でも皮膚科、外科、眼科で始まった。日本初の「アジア獣医皮膚科専門医」の1人で、アジア獣医皮膚科専門医協会会長でもある岩崎利郎氏によれば、皮膚科の専門医制度は「北米では1970年代に、欧州では1990年代に」それぞれスタートしたという。

「最初は国内の学会から始まりましたが、国際的な上部組織(ボード)がないと世界では認知されないことから、1国家ごとではなく、米国とカナダからなる北米大陸、複数国家からなる欧州大陸と、大陸ごとに専門医制度は定着しています」(岩崎氏)

 専門医制度の必要性を感じた岩崎氏ら皮膚科の獣医師たちは、国際的に認められるために、まず、アジア獣医皮膚科学会とアジア獣医皮膚科専門医協会を設立。その上で、欧州皮膚科学会の会長らの審査を受け、2005年、岩崎氏と現在「どうぶつの総合病院」の診療統括部長である永田雅彦氏がアジア獣医皮膚科専門医に選ばれた。後に東京農工大学の西藤公司氏と「犬と猫の皮膚科」の村山信雄氏が選ばれたが、皮膚科における専門医は、日本にまだ4人しかいない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン