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財布盗んだと疑われた中学生 その後、信じていた友人と絶縁

 涙にはストレス解消の効果があるといわれるが、泣ける“ツボ”は人それぞれ。今回は、誤解やすれちがいが生んだ感涙のエピソードをご紹介。今回は36才の専門商社に務める女性が中学生時代、親友を裏切ってしまった過去を告白してくれました。

 * * *
 中学生の頃、女友達にYちゃんという子がいました。Yちゃんは家庭に事情があり、裕福ではないと噂されていました。長い黒髪で顔が隠れ、無口なせいか、クラスでは嫌われていました。でも私は、Yちゃんと漫画の話をするのが好きで、よく遊んでいました。

 Yちゃんが体育館で行われた朝礼を遅刻した日、クラスメートのFくんの財布がなくなり、騒ぎになりました。FくんはYちゃんの悪口をよく言っていて、この日も真っ先にYちゃんが盗ったのだと決めつけました。

 Yちゃんは私にすがるような目を向けてきましたが、朝礼で誰もいなくなった教室にいたのはYちゃんだけです。私もYちゃんだろうと思いました。教室の隅へ呼び出し、「大丈夫だから。一緒に謝ろう」とYちゃんに言いました。

 その時の彼女の顔は今でも忘れられません。目を見開いて唇をわずかに開け、青ざめた表情でしばらく私を見ていました。そして唇を噛みしめると、教室を飛び出していきました。トイレの個室にいるところを先生が連れだして騒ぎを収め、その日、Yちゃんは早退していきました。

 翌日、Fくんが「財布は家にあった」と報告。Yちゃんは欠席していました。学校が終わると、私はYちゃんの家に走りました。チャイムを鳴らしても誰も出ません。私はドアを叩きながら「財布が見つかったの。ごめんなさい! Yちゃんを信じなくて、ごめんなさい!!」と叫びました。だけど、ドアが開くことはありませんでした。そしてそれからは、教室で会っても口をきいてくれなくなりました。

 なぜあの時、Yちゃんを信じなかったのか。クラス全員に疑われても、私だけは信じてくれると、Yちゃんは思っていたはずです。

 真っ先に犯人扱いしたFくんより、信頼を裏切った私の方が罪深い…。それからの私は、人を信じることをなによりも心がけるようになりました。

※女性セブン2014年4月10日号

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