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特養ホーム入居に「泣き落とししてでも絶対あきらめるな」

 厚生労働省が発表した特別養護老人ホームの待機状況の調査結果によると、特養に入所の申し込みをして待機中の高齢者は「52万4000人」に上るという。入所の順番は申し込み順だけでなく要介護度や緊急性が加味される。

 入所の申し込みをした特養には、緊急性をアピールし続けることが重要だ。それには、施設との「関係性」が重要になる。施設長のK氏はこういう。

「申し込みの段階では緊急性を聞きますが、入所待ちの段階では我々のほうから緊急性の変化を聞くことはありません。だから、常に『どれほど困っているか』をケアマネや生活相談員などを通して施設側に伝えることが重要です」

 複数の施設に申し込んだうえで、各施設に状況を伝え続けていれば、どこかの施設で順位が上がり、早く入れる場合もある。認知症の母親(84)をもつ男性(61)は、この方法で猛アタックをかけ続けた。

「介護用品のレンタル会社を経営している同級生からのアドバイスは『泣き落とししかない』『絶対にあきらめるな』でした。母の生まれ故郷に近い特養を選び、週1回は担当者に連絡して、痴呆が進んでいる状況を伝え、排泄物の始末や食事の世話などが難しくなっていく状況を事細かに伝えた。とにかく困っていることをアピールし、親ではなく自分たちの名前と顔を覚えてもらうようにしました。“出世”するにはそれしかないんです」

“出世”とは、申し込み順が上がることを指す。特養側も、申し込み者が何も連絡してこなければ、緊急性に変化がないと判断するので、わざわざ“出世”させたりはしない。とにかく状況をアピールすることが大事なのだ。

※週刊ポスト2014年5月9・16日号

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