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日本企業叩く中国メディア 外資を駆逐してシェア奪う道具に

 国内の矛盾や不満を表面化させないために反日を煽るだけの韓国と違い、中国の対日工作はより戦略的で実利を求めている。日本企業に対する陰湿で手の込んだ攻撃はその最たるものである。

「世界消費者権利デー」の3月15日、国営放送の中国中央電視台(CCTV)にニコンが“裁かれた”。狙われた裏には何があるのか。

 CCTVが毎年、世界消費者権利デーにあわせて放送する特別番組「3・15晩会」は外資系企業叩きの場として有名だ。昨年は米アップルが「iPhone」のアフターサービスで他国と中国とで差をつけていると糾弾され、ティム・クックCEOが謝罪に追い込まれた。

 今回、ニコンはデジタル一眼レフカメラ「D600」で画像に黒い点が写り込む欠陥商品だと批判された。放送翌日の16日、上海市商工局が「D600」の販売停止を命じると、17日には南京、西安など他の都市でも販売停止命令が下されるという見事な連係プレーを見せた。

 ニコンは「CCTVの報道内容を非常に重視している」と声明を発表して無償交換に応じる方針だが、上海市の消費者からはすでに代金返還と賠償金を求める裁判が起こされており、今後“戦線”が拡大する恐れがある。

 CCTVに限らず中国メディアは、国内企業が外資を駆逐してシェアを奪う道具としても機能する。評論家の宮崎正弘氏が警鐘を鳴らす。

「中国企業が自信を深めている分野では、CCTVなどのメディアをはじめ、当局が難癖をつけたり、消費者団体や環境団体を装った活動家がクレームをつけたりする。

 典型的なのが王子製紙で、江蘇州南通市に建設した製紙工場は約2000億円を投じ、プロジェクト着手から10年以上が経過するのにいまだ全面稼働できずにいます。排水溝について当局が嫌がらせのようにさまざまな条件をつけ、さらには地元住民が反対運動を起こしたからです。

 他に狙われやすいのはブランドに支えられたビジネス。外資系企業の製品を不良品だと喧伝してブランドを毀損した上で、中国メーカーがシェアを奪いに来る。化粧品メーカーなどは警戒が必要です」

 すでに2006年に被害が出ている。広東省の輸入検疫部門が、マックスファクターが日本で製造して中国で販売した「SK-II」ブランド製品からクロムなどの重金属が検出されたと発表。

 親会社のP&Gの上海支社のドアが抗議に来た消費者によって破壊される事態となった(P&G側は「指摘された物質は原材料として配合していない」と反論し、最終的に中国当局が安全宣言を出した)。

※SAPIO2014年6月号

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