圧力をかける手口は様々だ。例えば税関で「あれこれと難癖を付けられる。当然、賄賂も要求される」(電子部品メーカーの上海駐在員)のはよくある話だ。
上海では日本の各都道府県が窓口として事務所を設置、観光誘致のほか地元企業の中国でのサポート業務などを行なっている。日中関係が緊張するたびにそれらの事務所に市の役人たちが突然訪れ、書類を漁っていくという。
「理由も開示されず、抜き打ちで検査されました。普段は問われないような軽微な違反を見付け圧力をかけてくる。3か月間の営業停止を命じられた自治体事務所もありました」(東北地方の事務所職員)
反対に、日本企業が犯罪の被害を受けても警察はまともに捜査しない。
上海にある日系メーカーB社工場では2012年以降、レアメタルなどの高価な金属が盗難される事件が頻発した。防犯カメラの画像や目撃者の証言から、犯人はB社の中国人社員であることが濃厚だった。
「本人が認めなかったため、警察に通報した。ところが警察は『その中国人社員がやったかどうか100%の確証はない』などと言って事情聴取すらしてくれませんでした」(B社関係者)
■西谷格(在中国ジャーナリスト)と本誌取材班
※SAPIO2014年6月号