国際情報

カンボジアで「飲める水道水」を実現したのは北九州市水道局

 中国が南シナ海で示威行動をエスカレートさせていることにアジア諸国の懸念が高まっているが、その一方で日本への信頼は高まっている。

 アジアの貧困地帯の一つでもあるカンボジアには、悲惨な歴史がある。長い内乱期を経た1975年にポル・ポトが実権を握ると、たった3年間で200万人が虐殺されたのだ。ポル・ポトの失脚後も、国内には地雷が多数残された。

 そこへかけつけたのが日本だ。自衛隊が地雷撤去をする傍ら、日本政府の無償援助によって、橋をかけるなどの道路整備を進めた。

 なかでも、トンレサップ河に架けられた橋は有名だ。カンボジアの1000リエル札にも印刷されている。名前は「日本カンボジア友好橋」。もともとこの橋は、日本の支援で1960年代につくられたが、ポル・ポトによって破壊された。それが1990年代に入ってからまたも日本の力で復活したのだ。

 カンボジアの人々は日本人に対して、並々ならぬ敬意を示す。それは、日本には、戦争という悲劇から立ち直って急速に発展したという経験があるからだ。一般社団法人アジア支援機構代表理事として、アジアの貧困地帯の支援を行なう池間哲郎氏は「日本は、私たちの見本であり、希望です」と言われたという。

 首都プノンペンでは、水道水が飲める。これは、衛生環境が整備されていない東南アジアでは、極めて珍しい。これを実現したのは、北九州市の水道局である。地方都市の一部門が、上水道の普及に一役買っているのだ。北九州市は水道のほか、ゴミの処理など生活に関わるインフラの輸出に積極的だ。

 インドネシアのスラバヤにも北九州市は進出している。そのスラバヤでよく聞かれるのが「大切なことはすべてタカクラに学んだ」という言葉だ。

 タカクラとは、北九州市の依頼でスラバヤに渡った技術者・高倉弘二氏のことだ。家庭から出る生ゴミを堆肥にする「高倉式コンポスト」の開発者。高倉氏自身が一戸一戸を訪ね歩き、普及に努めたこともあり、スラバヤ市内の約3万世帯に普及し、生ゴミの量が激減。人々の環境への意識も高まったという。

※週刊ポスト2014年5月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン