国内

期間限定労働力に拘る安倍首相は過去の失敗繰り返すと大前氏

 日本経済再生のため、「移民受け入れ」を決断するならば国家の基盤を左右しかねない大きな政策変更になるだけに、実行には具体的かつ戦略的なビジョンが必要になる。20年以上前から「移民は不可欠になる」と提言してきた大前研一氏が指摘する。

 * * *
 デモグラフィー(人口統計学)は冷徹だ。国立社会保障・人口問題研究所の推計による2050年の日本の人口ピラミッドは、男女とも70代後半が最も多く、低年齢になればなるほど少ない”モスラの幼虫形”になっている。

 このままだと生産年齢人口は大きく減少し、現在の国力が維持できなくなるのは火を見るより明らかだ。それを反転する方法は移民の受け入れだと、私は20年以上前に提言した。

 そもそもデモグラフィーや人口ピラミッドが何のためにあるのかと言えば、国家の長期的な政策を作るためである。言い換えれば、人口に関することは教育などと並ぶ国の「基本政策」であり、それを変えるには少なくとも20年かかる。

 実際、私が40年以上にわたって経営コンサルタントとして活動してきた経験からすると、たとえば日本企業が外国人社員を増やして真にグローバル化しようと思ったら、公平な人事制度や給与体系を整備するだけでも5年単位で試行錯誤しながら様々な問題や軋轢を解決していく必要があり、最終的には20年かかる。それを踏まえれば、国家が(試行錯誤が必要な)人口問題を解決しようとする際にも20年以上かかるのは当然だろう。

 逆に言うと、20年かけずにその場しのぎで移民政策を進めたら必ず失敗する。たとえば25~30年前のバブル期、人手不足になった土木建設業や製造業で働くため、南米の日系人をはじめパキスタン、イランなどから労働者が続々とやってきた。日本政府は単純労働者の受け入れを認めていないため、彼らは観光ビザ、学生ビザなどで来日して不法就労の形で働き、それを政府も事実上、黙認していた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン