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韓国 TVで一瞬でも日本語表示されれば糾弾する視聴者が多い

 この4月に、韓国の女性アイドルグループ、クレヨンポップの新曲『オイ』が、韓国国営放送のKBSから放送不適合の判定を受けた。歌詞のなかに日本語で「光る」を意味する「ピカ」という言葉が使われていることが理由で、該当部分を韓国語の「ポンチョク」に変えてレコーディングし直したという。

 韓国は1945年に日本の植民地支配から独立した後、日本の音楽や映画、漫画などを禁止したが、1998年に漫画を解禁して以降、緩和された。現在では日本文化の流入を禁止する法律は存在しないが、一部のテレビ局ではいまも日本語の音楽や映画、ドラマの放送を禁止している。メディアで日本語や日本文化をにおわす内容を流すと、視聴者から「日本帝国主義の影響」と難癖がつけられ、物議をかもすからだ。韓国ではこれを「倭色論難」(ウエセクノンラン)と呼ぶ。

 2009年7月にKBSが放送した「ハッピーサンデー1泊2日」という番組で、レポーターらが江原道の焼き肉店で「肉の刺身」というメニューを注文し、制作スタッフが「ユク(肉)サシミ」と字幕を入れたところ、放送後、視聴者掲示板には「国営放送らしくない」と、抗議が相次いだ。一瞬でも日本語が表示されるのを見逃さず、糾弾する視聴者がたくさんいるのである。

 最近の例では、今年1月に公開された映画『朝鮮美女三銃士』が、「倭色論難」の 食になった。映画は「韓国版チャーリーズ・エンジェル」とも呼べるような内容だったが、3人の美女のアニメっぽいコスチュームが「倭色風(日本風)」だと批判が起きた。そのせいか、興行成績は低迷しているという。少々気の毒である。

 ただし、この倭色論難や日本語規制は、報道番組には適用されない。セウォル号の沈没事故では、乗客用救命胴衣のほとんどが、日本から船を購入した時点から買い替えられておらず、製造後20年も経過していたことが判明した。ニュース番組では、救命胴衣に表記された製造年月「平成3年1月」の文字が大写しになり、「平成3年の衝撃」と呼ばれ、話題になった。

※週刊ポスト2014年6月6日号

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