しかしいかに野球熱が高くても、球団経営とは別問題だ。何といっても新規参入の焦点は、スポンサー企業が現われるかという点に絞られる。課題から検証しよう。前出の江本氏はこう語る。
「プロ野球は毎試合3万人の入場者がいないと、球団を持つ旨味はない。そのためには、外野に客が入るのではなく、内野の年間予約ボックス席がどれだけ売れるのか、それを買ってくれる企業がその土地にどれだけあるか、というのが問題なんです。人口800万人規模の大阪で、阪急や近鉄、南海といった大企業が球団を手放してきたことを考えないといけない」
経済効果の試算で知られる関西大の宮本勝浩教授も、「経済効果の上でも地域活性化の面でも、球団増設はプラスに働く」と賛成しながらも、「球団経営を長期的に支えられるかどうかが問題」と指摘する。
「福岡にソフトバンクができ、札幌に日本ハム、仙台に楽天ができ、地元のサポートを得てはいます。ただ12球団の大半が、広告宣伝費として本社が赤字を補しているのが実情です」
現行の野球協約によれば、主なプロ野球の新規参加資格として、「専用球場を持っている」ことが求められ、参入に際しては預かり保証金などの名目で「30億円」が課されることになる。この費用もかかる。
「球団が新規参入するには、加盟に関する納入金や球場整備費用の他、選手の年俸など100億~200億円の資金投入が必要です。しかも新球団は、少なくとも10年間は高収益は見込めない。国が指針を出したからといって、この大きな赤字覚悟の企業があるか。難しいところですね」(宮本教授)
地元財界の理解を得られるかどうか。これが新球団を作る上で大きな問題となるわけだ。
※週刊ポスト2014年6月13日号