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主婦年金廃止するならその分サラリーマンの保険料を下げるべき

 安倍政権は6月末に発表する新成長戦略で「女性の活躍」を掲げる。成長戦略を検討していた5月には、『「女性が輝く日本」の実現に向けて』という資料が「厚生労働大臣 田村憲久」名で出された。

 その中ではパート勤務の妻を厚生年金に加入させるよう制度変更(2016年10月施行)して、約1000万人いる第3号被保険者を減らすことがハッキリと図で記されている。その先に狙われているのが「主婦年金(第3号制度)廃止」なのだ。

 年金官僚たちはこれまで「主婦は保険料を払わずに年金をもらえる。不公平だ」という説明を繰り返してきた。それを真に受けた大新聞やテレビも「主婦はズルイ」と煽った。2011年には、当時の小宮山洋子・厚労相が「(第3号制度は)本当におかしな仕組みだ」と語ったこともある。

 本当におかしいのは、そういってきた者たちのほうだ。「不公平論」は真っ赤なウソなのである。年金博士としてお馴染みの社会保険労務士・北村庄吾氏が解説する。

「第3号制度が導入されたのは1986年です。当時財政の再計算が行なわれ、将来の給付が増える分、サラリーマンが加入する厚生年金の保険料率は10.6%から12.4%(労使合計)へ引き上げられた経緯があります」

 つまり、主婦の保険料は夫の負担をアップさせることで補ったのだ。上げ幅は1.8%。現在、1年に0.354%ずつサラリーマンの保険料率が引き上げられていることを考えれば、その5年分以上も一気に負担が増えたことになる。1.8%は大きな数字だ。月給30万円ならば月5400円の保険料アップ。年間にして6万円強となる。

「もし第3号制度を廃止するというなら、その分サラリーマンの保険料を下げるのが筋です」(北村氏)

 こんな当たり前の意見が、政府からも国会からも、そしてメディアからも出て来ないところが恐ろしい。

※週刊ポスト2014年7月4日号

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