ビジネス

タクシー車種はトヨタのコンフォートばかり シェア82%独占

 タクシー利用の機会が多い人は、「最近はいろいろな車種があるんだなァ」と思うのではないだろうか。しばらくタクシーの車種は事実上の“1車独占”状態にあったが、燃費効率や利用者のニーズに応える形で、さまざまな種類がお目見えしている。そして、6年後の東京五輪開催を控え、さらにドラスティックな変化を遂げる。

 数年前まで、東京都内を走る法人タクシーは「トヨタ・コンフォート」だけといっても過言ではなかった。

 現在のコンフォートが発売されたのは1995年。その2年前に日産がタクシー専用車として「クルー」を発売。それに対抗する形で開発されたのが小型車のコンフォートと中型車のクラウン・コンフォートだった。

 そして2009年にクルーが生産終了となったため、都内のタクシー会社でのコンフォートのシェアは、現在、82%を占める(都内のタクシー車の販売を手がける東京トヨペット調べ)。

 シェア拡大に寄与したのは、コンフォートが「タクシー運転手のニーズ」を徹底的に追求した車であったことが大きい。

「運転手の疲労を軽減するため、長距離トラックの運転席を参考にして座席の堅さやポジションを最適化しました」(東京トヨペットタクシー部の小野善昭氏)

 各運転装置の操作性の高さも特徴だ。クラウン・コンフォートの場合、最小回転半径(ハンドルを最大まで切った時に外側の前輪が描く円軌道の半径)は、同種の一般車より10cm短い5.1m。

 わずか10cmの違いだが、「狭い路地への進入やUターン、あるいは駐車スペースへの車庫入れなどでは、この違いによって取り回しが大きく違ってくる」(ベテラン運転手)という。

 また、乗降の機会が多いタクシーは頻繁にハザードランプを点灯させる。コンフォートではハザードスイッチをウインカースイッチと一体化し、運転手の操作が簡単になった。

 乗客の利用しやすさも大幅に改善。後部座席のドアは一般車より広く開くように設計され、ほぼ直角になる。トランクスペースも同種の一般車より大きい。

「開発当時からタクシー運転手の高齢化が進んでおり、荷物の積み下ろしの際に腰を痛めるという悩みが多かったのです。そこでトランクの開口位置を下げて、荷物を持ち上げる高さに配慮しました」(小野氏)

 何よりもタクシー会社から歓迎されたのは「丈夫で長持ち」という理由だ。東京ハイヤー・タクシー協会の広報委員長を務める、山三交通社長の秋山利裕氏が語る。

「リーズナブルな車体価格(180万~250万円)に加え、耐久性に優れています。新車で6~7年使用して、約80万kmは走行できる。地方では100万kmまで使っている会社も珍しくありません」

※週刊ポスト2014年7月4日号

関連キーワード

トピックス

不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン