ビジネス

金価格 下値支える最大要因は中国、インドの旺盛な買い需要

 アメリカの量的金融緩和の縮小で方向感を見失ったヘッジファンドなどのリスクマネーは右往左往。新興国不安やウクライナ情勢などが相俟って、為替も株も債券も混乱するなか、金価格も1オンス=1200~1300ドル台の攻防が続いている。今後の金価格の動向を経済アナリスト、豊島逸夫氏が解説する。
 
 * * *
 世界の相場を動かしているのは、やはり米国。なかでもイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の言動は相場を大きく左右することを改めて認識しておく必要がありそうだ。

 では、今後の金価格はどうなるか。まずわかりやすいのが、下値である。ポイントは金の生産コストにある。昨年の金の生産コストは世界平均で1205ドル。これを割り込めば世界中の金鉱山が赤字になるため、これが心理的な抵抗ラインとなっている。

 ただし、現物と違い、先物はモメンタム(勢い)で売られるものなので、生産コストなどおかまいなしに売り込まれれば、先物主導で大きく下げる場面も想定される。

 そのきっかけとなりそうな今年最大の関門が、FRBによる「利上げ」である。おそらく今年後半には緩和縮小から利上げに転じることが現実味を持って語られるようになるはずだ。具体的には、今後の金融政策の方針を明示するフォワード・ガイダンスに「利上げ」という文字が刻まれることになるだろう。そうなると、ドル金利の上昇に伴って、金利を生まない金にとっては厳しい局面を迎えるのは必至の情勢といえる。

 先物売りが主導する格好で、場合によっては1200ドルを割り込み、1100ドル台に突入する可能性があるかもしれない。しかし、それは一時的にすぎず、今年の下値メドは1100ドル台になると見る。

 下値を支える最大の理由は、1200ドル割れを待ち構えている中国やインドの存在にほかならない。なにしろ昨年の金生産量3022トンのうち3分の2(約2000トン)を買い占めていたのは中国とインド。いずれも経済の減速に見舞われていたというのに、それだけ旺盛な買いに走っていたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
混み合う通勤通学電車(イメージ)
《“前リュック論争”だけじゃない》ラッシュの電車内で本当に迷惑な人たち 扉付近で動かない「狛犬ポジション」、「肩や肘にかけたままのトートバッグ」
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
リフォームが本当に必要なのか戸惑っているうちに話を進めてはいけない(イメージ)
《急増》「見た目は好青年」のケースも リフォーム詐欺業者の悪質な手口と被害に遭わないための意外な撃退法 
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン